第77回県芸術祭美術展(洋画・彫刻・工芸)が23日、県立美術館で開幕する。大賞の芸術祭賞には、洋画部門は林幸代(はやしさちよ)さん(日光)の「幾何学の池」、工芸部門は西澤光一(にしざわこういち)さん(宇都宮)の「鉄線編み花籃(かご)」が選ばれた。彫刻部門は該当がなかった。3部門の入賞・入選作品196点は10月5日まで展示される。
各部門の応募点数は洋画179点、彫刻20点、工芸70点。昨年に比べ洋画は2点、工芸は4点の微増となったが、彫刻は3点少なかった。
洋画部門は、抽象画の出品が例年より少なかったものの、作者の熱意が伝わる力作がそろい、審査員を悩ませた。立ち枯れたハスの茎がリズミカルに描かれた林さんの作品は、構成の面白さと作者の心象が感じられる点に評価が集まった。
時間をかけて向き合った個性ある作品が目についたという彫刻部門。大賞は該当なしとなったが、審査員らは来期の奮起に期待する。準芸術祭賞、25歳以下を対象としたU25賞受賞作など今後が楽しみな作品も。
審査が難航した工芸部門は漆芸、鋳金、陶芸、人形、織物など多彩なジャンルから昨年を上回る出品があった。中でも竹芸作品が目立った。西澤さんの花籃は、鉄線編と網代編を重ね、表の中心に黒の窓をつけることで作品に締まりとまとまりを生んだ。
作品批評会は23日午後2時(洋画)、24日同1時半(工芸)、10月1日同2時(彫刻)。入場料は一般260円(常設展も観覧可)。月曜休館。
芸術祭賞以外の入賞者は次の通り。
【洋画】準芸術祭賞 杉浦和彦(鹿沼)高根澤栄子(矢板)▽芸術祭奨励賞 小高正一、鈴木光一(宇都宮)天下井甚一(栃木)竹内光江(小山)亀田和子(益子)▽U25賞 高森由奈(小山)
【彫刻】準芸術祭賞 厚木正昭(栃木)小板橋秀雄(鹿沼)▽芸術祭奨励賞 小林志げる、尾嶋得司、生井和夫(宇都宮)市村多真美(大田原)▽U25賞 芝田空(宇都宮)
【工芸】準芸術祭賞 稲葉武雄(下野)江田委織(佐野)▽芸術祭奨励賞 石井和華子、箱田憲司、伊藤きよみ、星温美(宇都宮)江田朋哉(佐野)