今回はとちぎ子ども自然体験活動ネットワークの加盟団体から、施設を構えて自然体験活動を実施している葛飾区立日光林間学園の小林伸也(こばやししんや)さん、那須平成の森フィールドセンターの丸子哲平(まるこてっぺい)さんに活動に懸ける思いをうかがいます。(聞き手 同ネットワーク共同代表・遠藤隼(えんどうじゅん))
-葛飾区日光林間学園と那須平成の森、それぞれの特徴を教えてください。
小林 葛飾区の所有している日光林間学園を、NPO法人国際自然大学校が指定管理を受け運営しています。宿泊や体験の受け入れなどを担っており、区内の小学校から年間約4千人もの子どもが来てくれます。
丸子 後の昭和天皇がご結婚される際に別荘として整備されたのが那須御用邸です。その後、環境省へ管理が移り、国民が自然に親しむ場として2011年に「那須平成の森」として誕生しました。560ヘクタールの森の中には活動拠点となるフィールドセンターがあり、散策やガイドウオークを通じて豊かな自然を楽しむことができます。
-どのような活動に魅力を感じていますか。
小林 奥日光・戦場ケ原ハイキング、クラフト体験、レクリエーションゲームなどを通じて、葛飾区の小学生たちに満遍なく自然体験の機会を与えることができるところでしょうか。子どもたちの楽しそうな様子を見ていると、やりがいを感じますね。
丸子 私たちインタープリターはただ自然について説明するだけでなく、自然の発しているメッセージをお客さまに紹介する通訳のような役割です。参加者の意識変容につなげることもでき、教育活動に近いと感じています。
-今後の展望を教えてください。
丸子 以前、ネットワーク主催の講習会に参加した際、「新型コロナにより県内の子どもの自然体験の機会が減っている」という調査結果を聞き、大変ショックを受けました。そこで少しでも自然を学ぶ機会を設けようと、栃木・福島の子どもたちを対象に「森っこインタープリター」という企画を始めました。今後はハンディキャップのある人や、困窮家庭の人などへ自然体験の機会を届けられる企画を考えていきたいです。
小林 NPOの本部がある東京では「森のようちえん」という幼児向け自然体験をメインに活動してきました。日光でも地域の子どもたち向けに宿泊キャンプや、森のようちえんをやっていきたいです。施設は区外の方も利用可能なので、宿泊やイベントにぜひお越しください。
-それぞれの施設やフィールド、そしてスタッフに大きな魅力を感じました。共通して言えることは「子どもたちに体験の機会を届けたい」ということ。そして、団体同士の横のつながりにより、新たな自然体験の機会が生まれつつあるということを感じました。
小林伸也さん 葛飾区立日光林間学園事業主任。大学の授業でキャンプに出合う。自然体験活動に魅力を感じ、NPO法人国際自然大学校の指導者養成校を経て現職。普段は小学校や一般の受け入れをしているが、長期休みには、日帰りや宿泊キャンプの企画運営もしている。
丸子哲平さん 一般財団法人自然公園財団主任。2016年より、日光国立公園那須平成の森フィールドセンターでインタープリターとして従事。現在、インタープリテーション部門長。神奈川県生まれ。最近気になっているのは、キノコのなかま。
■とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク登録団体イベント情報
夏休みもりもりキャンプ2023~真夏の大冒険~(那須)
▽日時 8月15~17日
▽参加費 38000円(プログラム費、食費、保険代込み)
※詳細、申し込みは那須高原自然学校ホームページへ。