第23回全日本少年少女空手道選手権大会が7~9日、東京武道館で行われ、本県勢は男子組手で3選手が日本一に輝いた。本県勢の男子の優勝と、同一大会で複数の優勝は初めて。
優勝したのは、5年の沼田将真(ぬまたしょうま)(華拓会、鹿沼北)、3年の高宥備(こうゆうび)(少年連合・一期倶楽部、山辺)、1年の阿久津慶亮(あくつけいすけ)(正友会、佐野城北)。
このほか、男子形6年の中野蒼都(なかのそうと)(一友会伊藤道場、国分寺)、同組手6年の大島優昇(おおしまゆうしょう)(少年連合・一期倶楽部、足利南)、女子組手6年の小林神楽(こばやしかぐら)(同、群馬・駒形)と猪熊愛心(いのくまあみ)(正友会、静和)の4選手が3位だった。
三者三様、劇的な展開
四つの全国大会を連続で開催した「KARATE WEEK(空手ウイーク)」。その最後を飾る大会で、本県男子組手の3選手が躍動した。過去、県勢の優勝者は女子3選手のみ。男子選手として初、同一大会での複数優勝も初。それも、過去の優勝者数と並ぶ快挙だ。
3日間毎日、優勝者が出た。口火を切ったのは1年の阿久津慶亮(あくつけいすけ)(正友会、佐野城北)。準決勝で奇跡を起こした。3ポイントを追う残り13秒、「今大会のために練習してきた」裏回し蹴りで3ポイントを奪い同点。その後、相手が攻めてきたところに中段突きを決めた。決勝でも先取されながら蹴りで逆転し逃げ切った。
続いて3年の高宥備(こうゆうび)(少年連合・一期倶楽部、山辺)。「強豪ぞろいの厳しい組み合わせ」だったが、1回戦で優勝候補の一角を5-1で沈めて勢いに乗った。「攻めの組手」を展開し全試合で先取。自分のスタイルを貫き、頂点に駆け上った。
最後を飾ったのは5年の沼田将真(ぬまたしょうま)(華拓会、鹿沼北)。準決勝では先取され終盤まで同点。「いくしかない」。残り1秒、起死回生の中段突きで勝利をもぎ取った。決勝は安定した試合運び。客席からの残り時間のカウントダウンが「ゼロ」となった瞬間、大きなガッツポーズを見せ、うれし涙を拭った。
「『うれしい』しかない」(阿久津)「楽しく試合ができた」(高)「全国制覇は気持ちがいい」(沼田)。ヒーローたちは、それぞれの言葉で喜びを表した。
来年、3人とも県勢初の2年連続日本一のチャンスがある。プレッシャーはあるだろう。ライバルも力を付けてくるだろう。だが、連覇への挑戦権は、君たちがその拳で、その脚でつかみ取った特権だ。