「今日の彫刻」が水平展示された上にある「トルソ、或いはチャーハン」。冨井さん(写真奥)は、何となく集まった、残ったものを再構築した“賄い”みたいな作品だと説明する

「風呂関係のグッズには角がない。そのまろやかさを際立たせるために連続させた」という作品「メロー」と冨井さん。壁には「今日の彫刻」

好きで集まったちりとりを組み合わせ、ボルトとナットでつないだ「線の関係」。ちりとり自体がつくり出す形をできるだけとどめる意識で制作したという

「この空間の中では、彫刻を見せるというより彫刻をつくる行為を置きたいと思った」という「旅行者の制作」。木枠と布をたためばスーツケースに収まる

「今日の彫刻」が水平展示された上にある「トルソ、或いはチャーハン」。冨井さん(写真奥)は、何となく集まった、残ったものを再構築した“賄い”みたいな作品だと説明する 「風呂関係のグッズには角がない。そのまろやかさを際立たせるために連続させた」という作品「メロー」と冨井さん。壁には「今日の彫刻」 好きで集まったちりとりを組み合わせ、ボルトとナットでつないだ「線の関係」。ちりとり自体がつくり出す形をできるだけとどめる意識で制作したという 「この空間の中では、彫刻を見せるというより彫刻をつくる行為を置きたいと思った」という「旅行者の制作」。木枠と布をたためばスーツケースに収まる

 ありふれた既製品を造形要素として作品化する冨井大裕(とみいもとひろ)さんの個展が、県立美術館で開催されている。「美大生のころから特別で重要な存在だった」という同館を会場に、展示から照明、椅子の配置まで、作家自らが手がけた異色の展覧会。担当する山本和弘(やまもとかずひろ)主任研究員は、「冨井さんとは『いつか世界一の展覧会をやろう』と話していた」と明かし、日用品を使った“非日常”の光景が、同館ならではの空間に広がっている。

 いったい、これらをどう見たらいいのか。背の高さを超えて積み上げられたポリプロピレン製の風呂おけ、突っ込まれた蛍光灯をはみ出させながら壁に飾られたごみ箱のふた、絶妙のバランスで組み合わされた二つのちりとり-。