日本高校野球連盟(日本高野連)の調査で、本県の加盟校62校のうち、頭髪を「丸刈り」と定めている学校が2018年度の前回調査から大幅に減少していることが明らかになった。頭髪を自由とする学校からは「野球への思いを表す方法は他にもある」との意見のほか、少子化などを背景に部員数が減少する中で「頭髪を理由に野球を選ばない生徒を減らしたい」といった切実な声も聞かれた。第105回全国高校野球選手権記念栃木大会は7日に開幕する。
3日の宇都宮中央グラウンド。練習を終え、脱帽して板倉遼太(いたくらりょうた)監督の話に耳を傾ける部員の髪形はさまざまだ。部員8人中、丸刈りは1人。頭髪に関するルールはない。昨年4月の創部時、板倉監督から意見を聞かれ、部員で話し合って決めた。高橋真ノ介(たかはししんのすけ)主将は「自分たちは高校野球イコール(丸刈り)ではないという判断をした」と話す。
自身は高校時代に丸刈りだったという板倉監督。「(髪形で)余計なことを考えなくて済む」などメリットは感じたと言うが、生徒に強いることはなかった。
この5年間で急速に進んだ「脱丸刈り」の動き。県高校野球連盟の神部知重(かんべとしかず)理事長は「最近の子たちは小中学生の時から丸刈りにすべきだ、という指導を受けずに育っている」と話す。
栃木は22年度から「丸刈り」としていた頭髪に関するルールを「自由」とした。当時監督だった小林真人(こばやしまひと)部長は「年々、新入生から疑問の声が多くなっていて、指導者として判断する時だと思った」と振り返る。
決断した理由は他にもある。「(丸刈りが)嫌で野球をやらない子が年々増えてきた」。生徒数が変わらないのに、部員数は着任した10年前より十数名落ち込んだ。特に経験者の入部が減り、野球離れに危機感が募った。「一番大事なのは一生懸命、野球をやることだ」と考えを改めた。
現在27人の部員のうち、丸刈りにしているのは3分の1程度。「葛藤はあったが、髪を伸ばしていても一生懸命、目の前の白球を追っている。髪形は関係なかった」と実感している。