クビアカツヤカミキリを捕獲する鈴木文雄さん

 栃木県栃木市にある藤岡渡良瀬運動公園内の「わたらせサイクルパーク」を利用するロードバイクの愛好家らがクビアカツヤカミキリの捕獲に自主的に取り組んでいる。コース沿いには約40本の桜の木があり、春は疾走するサイクリストの目を楽しませているが、徐々に害虫の寄生が広がっている。利用者は美しいホームコースを守ろうと、練習の合間に声をかけ合い「捕獲の輪」を広げている。

 クビアカツヤカミキリは、桜や梅などの木に寄生して枯死させる特定外来生物。市総合政策課によると、市内では2018年度に初めて被害が確認され、今年3月末までの被害木は340本に上る。

 同公園内には250本以上の桜があり、少なくとも25本前後に被害が出ている。サイクルパークの桜にも被害が広がり、市は拡散防止のネットを巻くなどの対策に追われている。

 活動を始めたのは、埼玉県久喜市内からロードバイクの練習に通う鈴木文雄(すずきふみお)さん(71)。数年前から公園内の被害に心を痛め、スキーストックを利用した捕獲用の棒を自作し、練習の合間に捕獲してきた。

 「自分たちが走るきれいな桜の道を守りたかった」と、サイクルパークの利用者に声をかけたり、交流サイト(SNS)で呼びかけたりして活動の輪を広げてきた。

 今年は6月13日に初めてクビアカを発見し、15日から十数回、駆除を行っている。平日は5人前後、土日は10人前後が協力。25日は親子連れなど約20人の利用者が桜を1本ずつ見回り、約30匹を捕獲した。

 家族と共に参加した小学4年玉川葵(たまがわあおい)君(9)は「こんな虫がいることを初めて知った。3月の大会で桜がきれいだったので、守る活動に参加できてよかった」と話した。

 鈴木さんは「自転車だと見回るのにちょうどいい。これからも被害の実態を知ってもらい、自主的な捕獲の輪が広がれば」と願っている。