「和食ならここ」。矢板市に住む知人の美容室オーナーから勧められ、のれんをくぐった。
店主の手塚次男(てづかつぎお)さん(67)一押しのカツオの刺し身(千円)を注文すると、「皮付きと皮なし、どっちにしますか?」。まさか刺し身に“選択肢”があるとは-。迷っていると、脂のうまみが皮と身の間にあるという皮付きと、皮なしを合わせて出してくれた。無料で定食にしてくれるのもうれしい。
ミョウガやシソなどと上品に盛られたカツオは厚さ1・5センチほど。「赤字覚悟の厚さだけど、かみ応えがあるくらいがおいしい」。手塚さんがカウンター越しに笑った。
まずは皮付きから。コリッとした皮とほどよい身の弾力感とともに、赤身のうまみが口に広がる。ニンニクを添えると、鼻を抜ける爽快感も加わり深みが増した。続いて皮なしだ。薬味代わりに塩をなじませると味が引き立つ。つい、白米の存在を忘れて余韻に浸ってしまった。カツオは夜も人気。日本酒好きの手塚さんの好みは虎屋本店の「菊」とのペアリングだそうだ。ランチは刺し身定食や天丼などを千円ほどで用意している。
天然のカツオを含め、旬に扱うサンマやカキは生にこだわる。厳選した食材に店主の気さくな人柄がひと味加えている。
◆メモ 宇都宮市塙田2の1の3▽営業時間 午前11時半~午後1時半、同5~10時半▽定休日 日曜、祝日(土曜は夜のみ)▽(問)028・621・2235