読者アンケートを通じてジェンダー(社会的な性差)への考え方やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)をひもとく「バイアスチェック」。性別役割分担をテーマにした最終回は、デート・食事代の支払いについて。男性の半数近くが「男性が負担すべきだ」としたのに対し、女性は1割程度にとどまり、男女間の認識のギャップが浮き彫りとなった。

「デートや食事のお金は男性が負担すべきか」の設問に対し、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した肯定派は男性の49・5%、女性の11・5%。内閣府調査では男性34・0%、女性21・5%だったため、今回のアンケートでは全国以上に男女の差が際立った。
肯定派からは「平均では男性の方が稼ぎが多い」「女性は男性より身だしなみにお金がかかる」など金銭面を理由に挙げる声が目立った。
一方、女性の9割近くを占めた「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」の否定派からは、「当事者同士が話し合って決めることだ」「性別関係なく協力するのが正しい」と、性別に基づく分類や役割分担意識への批判が寄せられた。「男の稼ぎが必ずしも多い時代じゃない」などと社会の変化を指摘する声もあった。
独身生活者研究を行っているコラムニスト荒川和久(あらかわかずひさ)さん(宇都宮市出身)は「性別ではなく、あくまで(デートや食事をする)相手によって回答が変わる問題」と指摘する。
「おごるべきだという規範の有無は、自身がお金を稼いでいるかどうかに影響される」として、部活動や会社で見られる「先輩が後輩におごる」ルールを例に挙げる。「『男だから』『女だから』ではなく、『立場や収入が上だから』おごっている。デート・食事代についても『男が女より稼いでいるなら支払うべきだ』という発想になるのではないか」と分析した。
肯定派のコメント
・どちらかと言えば男性の方が高収入だから。(70代男性・鹿沼市)
・女性はデートのために時間とお金をかけている。(30代男性・宇都宮市)
・世代的に当たり前だった。(60代男性・宇都宮市)
・割り勘を求めるなら、女性に家事を求めないでほしい。(40代女性・日光市)
・男性もおごることで良いところを見せたい節がある。(20代女性・壬生町)
・女性に払わせたことはない。それが男。(80代以上男性・佐野市)
否定派のコメント
・男性、女性は関係ない。(70代女性・日光市)
・カップルによって事情が違う。おのおので決めればいい。(50代男性・真岡市)
・人によって給料の額は違うので、一律に男性だから負担すべきとは言えない。(20代女性・栃木市)
・女性に力がないと思われてしまう。割り勘が一番いい。(10代女性・宇都宮市)
・自分で食べた分は自分で出すのが普通。(40代男性・宇都宮市)
・ドラマや漫画で男性がデートのお金を負担するシーンがあり、それがかっこいい、頼りになるというイメージが固定化されている。(20代女性・栃木市)