【下野】市は24日開かれた議員全員協議会で、閉校した旧薬師寺小を、子ども食堂や障害者就労継続支援などを行う事業所「(仮称)龍興寺交流センター」として民間活用することを明らかにした。事業者は敷地北側にある龍興寺で、譲渡額は約5300万円。来年3月までの開業を目指す。坂村哲也(さかむらてつや)市長は「地域に愛された小学校が地元に貢献できる地域交流施設として生まれ変わることができ、よかった」と話している。
薬師寺小は吉田東小、吉田西小とともに、昨年4月に開校した南河内小中学校に統合され、2021年度に閉校した。敷地約1・6ヘクタールはもともと同寺が所有していた土地で、開校に当たり市に譲渡していた。
計画されている事業所は、鉄筋コンクリート3階建ての校舎や給食室、体育館、プール、運動場、学童保育施設を活用する。施設整備費は約1200万円。
校舎1階には子どもや高齢者、生活困窮者らが1食500円(小学生以下は無料)で利用できる「みんなの食堂」(子ども食堂)や、市民が集える「地域ふれあいサロン」(利用料金100円、小学生以下無料)をオープンする。障害者が校舎の管理・清掃や地域ふれあいサロンの運営・管理、近隣農家の手伝い、物品の製作販売ができる障害者就労支援施設も開所する。
また1、2、3階の教室にそれぞれ、1340年の歴史を持ち、鑑真和上(がんじんわじょう)に開基された龍興寺が所有する古文書や宝物の写真、資料を展示する「下野文庫」を整備。体育館やプールは地域交流の場として開放し、給食室はみんなの食堂の厨房(ちゅうぼう)となる。
市は3月、民間事業者の選定を公募型プロポーザル方式で実施する予定だったが、応募は龍興寺だけだった。