インターネットの普及に伴いエンタメや教育などさまざまな分野でデジタルの仮想空間が広がっている。新型コロナ禍での社会活動維持にも大きな役割を果たした。一方で懸念もある。高齢者には扱いにくいのに加え、若者世代でも趣向に応じて得る情報が異なり、社会的課題が共有されにくくなっているようだ。
そんなことを考えていたら、若い記者たちから「本県出身のVチューバー(バーチャルユーチューバー)を紙面で紹介したい」との提案が、年明け以降に相次いだ。アニメのキャラクターのような分身の姿で、ゲームを楽しみながら実況する動画が人気なのだという。「知らない世界」に不安を抱きつつ出稿したが、反応は好意的なものばかり。「掲載紙を買いたい」との問い合わせは全国から数百件に上り、ネット上では「記事にした新聞はエライ」とのコメントまであった。
アナログ媒体である紙の新聞だが、工夫次第で世代間の分断や格差の解消に貢献できるのではないか-。若い記者たちの感性を尊重し、試行錯誤を続けたい。