宇都宮市出身の文案家(コピーライター)坂本和加さんは、自分の思いを伝えるための思考や表現方法をまとめた書籍「ひとこと化-人を動かす『短く、深い言葉』の造り方」をダイヤモンド社から出版した。「カラダにピース。(カルピス)」「行くぜ、東北。(JR東日本)」といった誰もが知るキャッチコピーやネーミングを数多く手がけており、「コピーライティングの技術や思考は、仕事だけでなく家族や友人と信頼関係の構築にも役立つ」と話している。
坂本さんは「家に帰れば、積水ハウス」などを生み出した一倉宏さんに師事。2016年に独立し、現在はコトリ社代表。電子マネー「WAON」やフジテレビのニュース番組「イット!」のネーミングやコンセプト設定に携わった。21年には本紙「しもつけ随想」の執筆を担当した。
今回の書籍は、ダイヤモンド社の編集者から「物事の核心に迫る短い言葉をつくる技術を知りたい」と声をかけられたのがきっかけだったという。全4章構成で、物事の本質を捉えて相手に伝わる“ひとこと”にするためのノウハウを、自身が手がけたキャッチコピーやプロジェクトの事例を交えて紹介している。
第1章では、何かを売りたい・宣伝したい人と世の中(消費者)の間で共通項を探したり、違いをポジティブに捉える目線を養ったりと、一番言いたいことを見つけるための考え方をまとめた。
坂本さんはコピーライティングの仕事を「課題解決」と説明。下野新聞社の児童虐待防止キャンペーン「いのちにハグを。」では、子育て中の孤立や虐待を防ぐには、周囲が関心を寄せることも重要と考えた。そこで子育て中の大変さを分かち合う「オヤコサポーター」マークを提案するなどさまざまな角度から事実を把握し、課題を洗い出すプロセスにも言及した。
自分のキャッチコピーを付ける、写真に言葉を添える、といった言葉を磨くためのトレーニング方法もつまびらかに紹介。「いわゆるハウツー本にはしたくなかった。自分ごとと捉えてもらえるよう、専門用語を極力使わず中高生でも理解できる内容にした」。
言葉で伝えることや考えることが楽しい・面白いと分かれば、相手との違いを楽しみ自分を見つめ直すことができると考え、企業や学校に出向いてコピーライティングの技術を伝える活動にも積極的だ。
坂本さんは「『相手が本当に言いたいことはなんだろう?』という姿勢が身に付けば、職場や家庭での信頼関係が生まれコミュニケーションを取りやすくなる。日常生活でもこの本にまとめたアイデアをどんどん活用してほしい」と呼びかけている。
224ページ、1650円。書店やネット書店で扱っている。

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