昨年12月30日夕方、扇状に光を放ちながら夜空を上る物体が高知県中部で目撃された。高知新聞「なるほど! こうち取材班」(なるこ取材班)に「打ち上げ花火?」「突然光ってUFOかと思った」と驚きの声が複数寄せられた。その正体は-。
謎の光の情報は、高知市や南国市、香南市などにいた読者から寄せられた。
同日午後6時10分ごろ、高知市知寄町3丁目を車で走っていた男性(55)は、北西の上空に三角に広がった光を見つけ「山の上にあって、何秒かしてパッと消えた」。土佐市の女性(37)は「(同市の)清滝寺の真上だった。神様が降りたったように見えて神秘的でしたが、UFOの可能性も考えて本当に怖かったです」と振り返る。
条件、偶然重なり
何の光だったのか。高知みらい科学館(高知市)の前田雄亮学芸員に尋ねると、あっさり「韓国のロケット打ち上げによる現象ですね」。韓国国防省が、偵察衛星などの実用化に向けて行った個体燃料ロケットの打ち上げ実験で、この光は関東から九州にかけて広い範囲で目撃されていた。
前田さんによると「ロケットの噴出物によって成層圏より高い所に雲ができ、太陽の光が当たって明るく見えます。三角に広がったのは、ロケットの推進で(雲が)拡散する様子だと思われます」。ロケットの発射は時折あるが、夕刻とあって「地上は暗い一方、上空の高い所に太陽の光が当たった状態だったので、特にきれいに見えたのでは」。いくつかの条件が、たまたまそろった結果だとしている。
韓国内でもびっくり
ちなみに韓国メディアによれば、国防省は発射を事前告知しておらず同国内でもびっくりした人が多かったとか。朝鮮日報は同省が「冬季の気候の特性と(付近の)漁業活動を保障するため、夜に発射した」と説明したと報じている。
(高知新聞)