ここ数年、前線からの「名誉ある撤退」が続いている。私の前髪の話だ。「いつか反転攻勢に出るはず」と期待しているが、まだその気配はない。

 下野新聞は昨夏、新たな報道キャンペーン「あなた発 とちぎ特命取材班(あなとち)」を始めた。LINEなどで読者から寄せられた調査依頼を基に、記者が取材をする。報じるだけではなく、読者とともに地域の課題解決を目指すのが狙いだ。

 この取り組みは西日本新聞が2018年に開始し、趣旨に賛同する地方メディアに広がった。現在は全国30社が連携協定を結んでいる。

 その背景にあるのは、危機感だ。年々強まる「マスゴミ」批判やフェイクニュースの氾濫などが、メディア不信につながっている。そんな時代だからこそ、読者の声に耳を傾け、読者の「知りたい」に応えることが必要なのではないか。

 「あなとち」が、信頼回復の一助になるはず。開始から半年を経て、反転攻勢への手応えを感じている。