【さくら】本年度の第76回県芸術祭文芸賞「短歌」部門で、上阿久津の三つ子、高根沢高3年亀井可南(かめいかな)さん(18)、同香乃(かの)さん(18)、さくら清修高3年果歩(かほ)さん(18)が準文芸賞をはじめ、そろって入賞した。同部門は43人が応募し入賞者8人の狭き門。経験豊富な一般応募者が占める中、3人は初応募での受賞に喜びをかみしめている。
短歌部門は1人10首が審査対象となる。最高賞に次ぐ準文芸賞に輝いた可南さんの表題は「雨が上がりて」。「はつ夏の森よりピーターラビットが出て来そうなり雨が上がりて」などとした作品が、審査員から「高校生の感性のみずみずしさが際立ち、次への展開が期待される」と評された。
県公館で12月に行われた表彰式に3人そろって出席し、可南さんは「通学時に自転車をこぎながら考えました。(受賞は)びっくりです」と驚きを隠せない。
香乃さんは、「祖父の椅子」を表題とした「『おじいちゃん、もういないんだね』と弟が椅子をグルリと回しとび乗る」で文芸奨励賞を受賞。果歩さんはハチを題材に10首をまとめた「職蜂」でU25賞に選ばれた。
3人は宇都宮市在住の祖母に刺激を受け、小学生の時に短歌を始めた。母の千尋さん(45)は「作った歌を(祖母に)見せると喜んでくれた。ご褒美をもらえたことも励みになったのでしょうか」と振り返る。
下野新聞社主催の「新春しもつけ文芸」では、果歩さんが2021年に、可南さんが20年に2位となったほか、香乃さんを含めてほかの公募展でも多数の入賞を重ねている。
短歌のほかにも絵画やデザインに秀でる3人。さくら清修高の梅澤希人美術教諭(63)は「果歩さんは絵画の高校美術展でも特別賞を受賞、まんが甲子園でも中心的な役割を担った」と多才ぶりを評価した。
3人は今後、介護福祉士、歯科技工士、図書館司書を目指すために進学する。一方で「芸術活動も続けていければ」と口をそろえている。