「asanoha」のひし鉢やおちょこ

 麻繊維・麻小物製造販売のジャパン・ヘンプ・クリエーション(鹿沼市下永野、大森芳紀(おおもりよしのり)社長)は、麻を原材料にした紙器を開発した。使用後は堆肥化して自然に還元できる環境配慮型の商品で、「asanoha(アサノハ)」ブランドとして今春発売する。

 麻の栽培農家8代目の大森社長は約20年前、麻を加工する「野州麻紙工房」を立ち上げ、冠婚葬祭や神事などに用いられる伝統的な麻製品を供給してきた。

 麻は強風で傷つきやすく、良質なものは栽培したうちの半分ほどしか確保できないという。良質でない麻は安価な縄や紙などに使われていたため、商品の付加価値を高めていこうと2021年10月、ジャパン・ヘンプ・クリエーションを設立。繊維商社のスタイレム瀧定大阪(大阪市)と連携し、プラスチック代替品として紙製の器の商品化に乗り出した。

 アサノハの商品は麻の茎のパウダーやチップ、繊維質が残る皮に水分を加えて型に入れ、圧縮、乾燥、成形する。製造は静岡県の加工会社が手がけている。

 現在、ひし鉢とちょこの2種類を展開。今後、コース料理でも使える六角皿、六角鉢などを加え、8種類をそろえる。既に県内外のホテルで商談が進み、ほぼ内定した施設もあるほか、玩具のプラスチック製品メーカーが原材料として関心を示しているという。

 麻の栽培農家が減少する中、大森社長は「天候に左右されず、麻を余すところなく使って経営を安定させ、若い人たちが魅力に感じる産業にしていきたい」と話している。