バスケットボールB1東地区の宇都宮ブレックスは11日午後7時25分から、宇都宮市のブレックスアリーナ宇都宮で同地区の仙台と激突する。全60試合で争われるリーグ戦のうち29試合目のこの日は「100%とちぎ愛 下野新聞スペシャルゲーム」として開催。後半戦に向け重要な折り返し点となる一戦の見どころなどを紹介する。

今こそ反転攻勢の時
ブレックスの通算成績は12勝16敗で東地区5位。今季は連敗スタートと開幕からつまずき、外国籍選手の退団、主力のけがも重なって負けが先行。例年になく苦しいシーズンを過ごしている。
年間王者を決めるチャンピオンシップへは各地区2位以上と残る18チームの中で勝率上位の2チーム(ワイルドカード枠)を加えた計8チームが出場できるが、現時点で東地区2位のA東京まで10ゲーム差、ワイルドカード枠まで8ゲーム差。まさに正念場を迎えている。
だが、ここで立ち止まるわけにはいかない。チーム名の由来にもなっている「BREAK THROUGH(現状を打破する)」の精神の下、今こそ原点に立ち返る時だ。

2月には初優勝を目指す天皇杯の準決勝、3月には宇都宮市などでの集中開催が決まった東アジアスーパーリーグも控える。1月は残り6試合中、5試合がブレアリでの戦い。ここを反転攻勢の起点にしなければならない。
対戦する仙台は今季B2から昇格し、東地区で8勝20敗の7位。1試合平均76・92失点は24チーム中10番目の少なさで、最大の武器である粘り強い守りがB1でも通用することを示してきた。
今季は開幕前のプレシーズンゲームと第3節で対戦しブレックスの3戦全勝。ただ、2試合が1点差、1試合が4点差の決着になっており、今回も手に汗握る展開が予想される。
注目は第3節の初戦で逆転3点シュートと試合を決めるブロックを成功させた比江島慎(ひえじままこと)の勝負強さ。両チームともに黄色がチームカラーなだけに、当日は黄色一色で熱烈な“黄援(おうえん)合戦”が繰り広げられそうだ。
得点力向上へのキーマン
208センチ、105キロの体格で試合前の練習では容易にダンクをたたき込む。米国出身のパワーフォワード、グラント・ジェレットは力強さにしなやかさを兼ね備えた機動力のあるビッグマンだ。

米・アリゾナ大から2013年にドラフト2巡目でNBA入り。18年に三河で数カ月プレーした後は活躍の場を欧州に移したが、「日本の素晴らしさやプロフェッショナルなリーグが印象的で、戻ってきたいという思いが強かった」。4年ぶりの日本でのプレーに胸を高鳴らせている。
最大の武器は「内でも外でもプレーできる」器用さだ。加入後2試合目の出場となった昨年12月16日の川崎戦では、柔らかく浮かせたシュートやダンク、3点シュートとさまざまな得点パターンを披露。途中出場ながら28得点、11リバウンド、4アシストと大暴れした。
内外角にバランス良く得点するスタイルは「自分のキャリアを通じて心掛けてきた」という理想形だ。ここまで10試合に出場し平均9・8得点。長い腕を生かしたリバウンドやブロックなどゴール下の守りにも奔走している。
12月10日にチームに加わる前はロシアのクラブに在籍、2月以降は実戦から遠ざかっていた。試合勘を取り戻す作業と並行してのプレーが続くが「連係を深められればもっと良くプレーできる」と自信をのぞかせる。
佐々宜央(さっさのりお)監督も「点の取り方にバリエーションがあり、毎試合2桁ぐらいの得点を期待している」と熱視線を送る。ブレックスの1試合平均71・4得点はリーグ最下位。得点力向上へ背番号34にかかる期待は大きい。