県内の12月の新型コロナウイルスによる死者数は29日までで計161人に上り、月別で最多だった8月(130人)を上回っている。70代以上の高齢者が9割を占め、うち医療機関に入院中が6割、施設療養中は3割だった。一部だが自宅療養中に死亡する事例も出ており、県は高齢者らに対し「年末年始でも症状に応じて早めにかかりつけ医に相談、受診をしてほしい」と注意を呼びかけている。
11月の死者は71人だったため、感染拡大に伴い死者も倍増したことになる。
12月の死者を年代別に見ると、80歳以上は111人で全体の約7割を占めた。70代は35人、60代は11人、50代は4人だった。
入院中に死亡した人は91人、施設療養中は54人。死亡後の陽性確認は10人。自宅療養中や宿泊療養中、医療機関に搬送後に死亡した人は6人だった。県医師会の稲野秀孝(いなのひでたか)会長は「基礎疾患がある高齢者がコロナで食べられなくなり、脱水して最後は亡くなってしまうケースが多い」と指摘する。
県は今夏の第7波到来を前に、県内全ての高齢者施設などで入所者の感染が判明した場合、往診や治療を受けられる体制を整えた。しかし、体調を崩す人が多い冬場に感染の第8波が本格化し、医師らも外来診療に追われ、速やかな往診が難しい状況があるという。
8月は医療が手薄になったお盆時期に死者が集中した。同様に年末年始でも、県は重症化リスクの高い高齢者らの受診控えを懸念。かかりつけ医や県の受診・ワクチン相談センター(0570・052・092)への早めの相談を呼びかけている。
クラスター(感染者集団)が相次ぐ高齢者施設の職員には、県が配布した抗原定性検査キットによる定期的な検査を要請している。