
35の候補から決定した下野新聞社の「2022年栃木県内10大ニュース」。一般投票の結果によるトップ10から見えてくる、県内の社会情勢や県民意識とは-。下野新聞の山崎一洋社会部長に聞いた。
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トップ10のニュースを見ると、明るい話題もあれば、事故や社会問題も入っていて、2022年の栃木県内を映し出したランキングになった印象です。
障スポにも関心
1位は「いちご一会とちぎ国体」の開幕でした。4位にも全国障害者スポーツ大会(障スポ)「いちご一会とちぎ大会」の開幕が入っています。国体は42年ぶりの地元開催で、障スポとあわせて下野新聞でも大々的に報道を展開しましたが、県民がどれぐらい関心を持っているのか見えていない部分もありました。思った以上に、県民が大きなイベントとして捉えていたということだと思います。

スポーツ関係では、2位に宇都宮ブレックスの日本一が入りました。5シーズンぶりの快挙で、宇都宮市中心部のパレードも沿道を多くの人が埋めました。10位には国学院栃木高の全国高校ラグビー大会準優勝。37年ぶりの夏の甲子園出場を果たした硬式野球も含めて、高校スポーツは国学院栃木高の活躍が目立った年でした。
ネットの影響大きく
3位にはコストコの県内初出店。6月のオープン時は「狂騒曲」ともいえる大騒ぎでした。群馬や茨城にはあって、栃木県にはなかったコストコ。県民の憧れの大きさが垣間見える話題でした。

インターネットでよく読まれた記事が多くランクインした、という印象もあります。コストコもそうですし、5位の那須サファリパークの事故、6位の殺生石が割れたニュースもそうです。10大ニュースの応募ははがきとネットで行っていますが、ネットの投票割合が年々増えているので、その影響があるかもしれません。
コロナがトップ10圏外に
また、県民意識の変化をうかがわせたのは、新型コロナウイルスに関するニュースがトップ10に入らなかったことです。

2020年は1~3位、2021年も3~5位を、コロナに直接的に結びついたニュースが占めていました。良くも悪くもコロナが「日常化」したことを表していると思います。社会経済活動が正常化してきたことが大きいと思いますが、いまも1日の新規感染者数は過去最高に迫るレベルです。医療現場からは「戦争に近い状態」との声が聞かれていることは、忘れてはいけないと思います。