12人の「とちぎ未来大使」が栃木県の魅力を語る動画「ここがいいね!栃木県」の一場面

 民間調査会社のブランド総合研究所(東京都港区)が調査した「都道府県魅力度ランキング」が9日夜、日本テレビ系列「世界一受けたい授業SP」の生放送で発表され、栃木県は最下位を脱した。県内を揺るがした“事件”から一年。いかにして雪辱を果たしたのか-。

■茨城にも負けた…

 2020年10月14日。衝撃の一報だった。「最下位は栃木県」。都道府県魅力度ランキングが発表され、栃木県は前年の43位から四つ順位を下げ、初の最下位に転げ落ちた。

 これまでも40位台の常連ではあった。しかし、最下位には同じ北関東の茨城が7年連続で居座っていたため、栃木県の名がさほど取りざたされることはなかった。

 この日、下野新聞がツイートした速報記事には1700件を超える「いいね」がついた。コメントにも「なんてことだ」「県民としてショック」「逆にオイシイ」など落胆や戸惑い、開き直りが入り乱れ、県民の動揺の大きさを物語っていた。

■「気にしない」はずだった

 さかのぼること2カ月前。栃木県はある方針を示していた。ブランド力向上の成果指標から「魅力度ランキング25位以内」の目標を外すことにしたのだ。

 背景には、県の会合での意見があった。「客観的な調査と言えない」「いつまでこだわり続けていくのか」。下位が定位置となっている状況に、県内経済界などから参加した委員は手厳しかった。

 あくまで民間企業の調査項目の一つに過ぎない-。県のブランド戦略にはなじまないとの考えに至ったはずだった。

■知事の“直談判”

 福田富一知事が魅力度ランキングを調査するブランド総合研究所を訪れたのは、最下位発表から7日後、10月21日のことだった。

 田中章雄社長と面会し、84の調査項目の一つである「魅力度」が「総合的な評価との誤解が生じている」と指摘。「観光意欲度」や「居住意欲度」なども加味した総合的な評価項目を設けるよう求め、調査方法についても、約600人だった回答者数を増やすことを要望した。

 申し入れ後、報道陣の取材に応じ「倍返ししていきたい」。最終話から間もない人気ドラマの決め台詞になぞらえ、最下位脱出への意気込みを述べた。

■底辺からの出発

 再出発は最下位を逆手に取ることから始まった。県は10月28日、新たな魅力発信プロジェクト「47(そこ)から始まる栃木県」を発表した。

 バスケットボール栃木ブレックスの田臥勇太選手、益子町出身のタレント井上咲楽さんといった「とちぎ未来大使」が栃木県の魅力を語る動画を配信。栃木県出身ではない、お笑いトリオ「3時のヒロイン」が観光名所を回る動画も作った。

 コロナ禍でイベントを開催しづらい状況もあってか、著名人を起用したデジタルマーケティングに突き進んだ。

■企業、県民も

 行動を起こしたのは行政だけではなかった。お国自慢が苦手とされる栃木県民もさすがに奮い立ったのか、この一年、魅力発信のムーブメントは企業、県民にも広まった。

 県のプロジェクト「47(そこ)から始まる栃木県」に賛同したのはコンビニ大手のセブンイレブン。栃木県を代表する食材のとちぎ和牛やイチゴの「とちおとめ」を使用した新商品を発売するキャンペーンを行った。

 栃木市内の認定こども園では「めざせ最下位脱出」と題して、ごっこ遊びで栃木県の魅力を体感できるイベントも。県民の熱意は田んぼアート、イチゴのナポリタンなどにまで及んだ。

■課題の関西圏で

 官民で必死な取り組みを展開してきた栃木県だが、1年での最下位脱出に向けては、大きな課題が残っていた。西日本、とりわけ関西圏での知名度の低さだ。

 宇都宮市に本社がある家電量販店のコジマは、関西地区にある全10店舗に「栃木愛」をテーマにした観光PRコーナーを設置。県は大阪府内などで百貨店前のデジタルサイネージ(電子看板)やラジオCMなど多メディアを使った広告プロモーションに打って出た。

 「日光って栃木県なの?」と言われがちな関西圏でのアピール。あとは結果発表という“運命の日”を待つだけだった。