「高級おでんのお店ができたんだって」-。街なかで聞こえてきたうわさが気になり、ちょっと背伸びしてその店ののれんをくぐった。
店に入ると目を引くのがカウンター席の真ん中に置かれた直径約1メートルのおでん鍋。店内は料亭のような洗練された雰囲気で、思わず背筋が伸びた。
大衆酒場のイメージが強いおでんだが、厳選した食材に一手間加えて懐石風の料理として提供している。一番人気のダイコン(税別300円)は、かつお節などを乗せて見た目も上品な印象。食べてみると、「金沢おでん」のような魚介だしが効いた優しい味わいが堪能できる。
驚きの逸品は種一玉子(同250円)だ。程よく煮込んだタマゴにイクラが乗ったネタは、魚介の力で味に深みが出ている。
合わせるお酒はやはり、日本酒。栃木の地酒はもちろんのこと、この日は秋田の「新政」もお薦めしてくれた。夏から秋にかけては冷酒とおでんの組み合わせも悪くない。
「季節に合ったネタを用意するので、おでんは一年中楽しめる料理なんですよ」と料理担当の竹村一樹(たけむらかずき)さん(36)。料理人たちは全員県内出身で、時には冗談も交えて談笑してくれる気さくな方々だ。ちょっとしたお祝いの日に、おでんでぜいたくな気分を味わってもいい。
メモ 宇都宮市二荒町4の8▽営業時間 午前11時~午後2時(ラストオーダー午後1時半)、午後5時~10時(ラストオーダー午後9時半)▽定休日 不定休▽(問)028・666・5206