栃木県・奥日光の中禅寺湖の水位がここ数年では最も低下している。県日光土木事務所によると、10日時点での水位は1271・48㍍で、例年同時期比で60㌢ほど下回って深刻化した2024年4月の水位をさらに下回り、湖南部の上野(こうずけ)島が陸続きになる珍しい光景が出現している。観光業にとっては厳しいシーズンの幕開けとなりそうで、関係者は恵みの雨を待ち望んでいる。
中禅寺湖畔にある菖蒲ケ浜。通常使用していた桟橋周辺には水がなく、はるか沖にボートが止めてある。同所の渡船業斎藤勇(さいとういさむ)さん(75)は「40年ほど前だったと思うが、渇水で華厳の滝に水が落ちない時があった。それ以来では」と陸地とつながった上野島を見ながら説明する。円形の同島は、日光山輪王寺の聖地で勝道上人の墓所の一つでもあるため、周辺や内部への立ち入りは禁止されている。奥日光湯元で温泉業を営む千手ケ浜在住の伊藤誠(いとうまこと)さん(76)も「3年連続の渇水。降雪が少なく、雪解け水の流入が減少しているのでは」と話す。長年湖畔で暮らす地元関係者たちは「ここまで下がるとは」と口をそろえ、驚きを隠せない。
県日光土木事務所は現在、華厳の滝の落水量を平日毎秒0・1トンに減らし、夜間は停止して対応している。職員は「水位は近年最も低かった2年前よりもさらに低下している」とし、秋台風の減少など、降水量の少なさを一因に挙げる。
中禅寺湖漁協やボート貸出業者、遊覧船運営会社などもダメージを受けている。漁協の永田大介(ながただいすけ)組合長(60)は「20日にボートでの釣りが解禁となるが、水辺まで距離があり、舟を下ろせない(運べない)」とし、対応策と経費の捻出に頭を悩ませる。
中禅寺湖遊覧船を運営する東武興業は、17日が今シーズンの幕開けとなる予定。通常、着岸する菖蒲ケ浜と大使館別荘記念公園の2カ所は、付近を通過する代替コースで運行する。山田和行(やまだかずゆき)副支配人(60)は「浮桟橋の位置が極端に低下し、桟橋につながる橋も急勾配になってしまった」と説明する。関係者たちはそれでも「自然が相手ですから仕方のないことです」とし「雨を待つしかないですね」と期待している。
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