東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故から3月で15年となる。福島県内の大量の除染土を一時保管するため、大熊町と双葉町に整備された中間貯蔵施設と周辺を1月に取材した。福島の復興のために多くの住民が土地と生活を手放して成り立った施設だが、放射性物質の最終的な処分の道筋は見えていない。地域の記憶を残す活動を続ける住民や施設の管理運営に関わる本県関係者の姿を通じ、震災と事故が残したものの大きさを考える。

敷地内に残る建物を保存 故郷の記憶と教訓を紡ぐ

自宅跡地を守る 木村紀夫(きむらのりお)さん(60)=福島・いわき

 中間貯蔵施設の整備のため、敷地内の多くの住民が断腸の思いで土地を国に売却する中、津波で家族3人を失った一般社団法人代表木村紀夫(きむらのりお)さん(60)=福島県いわき市=は自宅跡地を手放さずにいる。原発事故の影響で行方不明となった家族を捜すこともできず、故郷を追われた。遺骨の一部しか見つかっていない次女のため、震災と事故の教訓を伝えていくため、敷地内の痕跡や学校などの保存に取り組む。県外の人にも原子力災害を自分事として考えてほしいと望んでいる。