吹きすさぶ木枯らしの中、孤独を抱えた無宿人が去って行く。口にようじをくわえ、決めせりふは「あっしには関わりのないことでござんす」。子どもながらに憧れたものだった。
一世を風靡(ふうび)したテレビドラマ「木枯らし紋次郎」。そのテーマパークの存在を耳にした。動画サイトを見ると、「日本一不気味な遊園地」との表記も。吸い寄せられるように足を踏み入れた。
紋次郎の故郷である上州新田郡の三日月村(架空)の景観や雰囲気を再現し、1980年にオープンした。三つあるアトラクションは興味深いものだった。
最初に入ったのは、暗い洞窟をライトで照らしながら進む「怪異現洞(かいげんどう)」。つり橋のある地底の滝や不気味な溶岩など予測不能な展開が続く。ひつぎが突然動き出し地下への階段が現れ、思わず声が出てしまった。
「絡繰(からくり)屋敷」は八つの部屋に複雑な仕掛けが施されており、スタッフの案内で進んでいく。詳しい内容は入ってからのお楽しみだ。
山道の階段を下ると、紋次郎の生家や宿場町が広がる。ひびが入った土壁や崩壊寸前の小屋など、廃村の趣。旅籠(はたご)屋の2階には着物姿の人形が‥。名前は「ゆうこさん」。詳しい設定は不明という。
峠の茶屋で一息つき、上州名物「焼きまんじゅう」を食べた。従業員のおばちゃんが「自家製なのよ」と優しく教えてくれた。村の最大の魅力は、おばちゃんたちの笑顔なのではないか。会話を楽しみながら、そんな気がしてきた。
【メモ】群馬県太田市藪塚町3320。午前10時~午後3時。入村券は大人(中学生以上)660円、小学生330円。アトラクションセット券は大人1769円、小人(4歳~小学生)1100円。金曜定休。12月25~30日は休み。臨時休業あり。(問)0277・78・5321。
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