タンザニアのサミア大統領=2日、ダルエスサラーム(ロイター=共同)

 アフリカ東部タンザニア政府が市民らへの弾圧を続けている。10月末の大統領選で有力野党候補2人が出馬できず、反発する市民に治安部隊が発砲し、国連専門家によると少なくとも700人が死亡。その後も市民の抗議デモを禁じた。トランプ米政権は今月、大統領選前後の民間人への暴力などを理由に、関係を見直すと表明した。

 タンザニアは独立以来、比較的安定した国と見なされてきた。今回の混乱は過去最悪の事態で、政府の強権化に国際的な懸念が強まっている。

 大統領選では、与党タンザニア革命党(CCM)の現職サミア大統領が97%以上を得票して圧勝した。サミア氏は副大統領だった2021年、前任者の病死に伴い初の女性大統領として就任。当初は政治集会の禁止措置を解除して柔軟姿勢を見せたが、選挙が近づくにつれ野党幹部逮捕など強権的対応を繰り返した。

 米CNNテレビは、選挙後に遺体が多数並んだ最大都市ダルエスサラームの病院の映像などを分析。デモ参加者が治安部隊に殺害され、ひそかに埋葬された可能性があると指摘した。