酒類卸の安井商店(茨城県境町、安井正博(やすい・まさひろ)社長)は、日光市文挟地区にウイスキー熟成専用施設「ストークバレー日光エイジングセラー」を新設した。
安井商店は、小山市神鳥谷4丁目の「STORK VALLEY DISTILLERY(ストークバレー蒸留所)」で栃木県産ウイスキー製造に取り組んでいる。小山市の蒸留所内熟成庫で熟成している原酒樽を順次移し、10月下旬から熟成を開始する。2027年1月に3年間熟成させたジャパニーズウイスキーの初リリースを目指す。
ストークバレー蒸留所は、23年12月からウイスキー原酒を製造し、日光産材を使った樽で熟成を始めている。取得した熟成専用施設は1928年に建設された大谷石造り広さ約170平方メートル。かつて米の貯蔵庫として地域で利用されていた。
熟成施設の脇には「特別史跡」「特別天然記念物」の二重指定を受ける例幣使街道の「日光杉並木」が連なっている。大谷石が持つ断熱性・調湿性を生かす。
今後、栃木県内での一貫したウイスキー造りを推進し、栃木県産麦芽・酵母などの研究を進めるとしている。伝統工芸士との協業による木樽製作や県産素材を生かしたボトル・パッケージの開発など“オール栃木ウイスキー”も構想する。
安井社長は「歴史ある建物を新たな熟成庫として再生し、自然の力を生かした熟成に挑戦する。地域の環境や文化を大切にしながら、栃木らしいウイスキー造りを続けていきたい」とコメントしている。