12日告示された那須烏山市長選には、3選を目指す現職の川俣純子(かわまたじゅんこ)氏(65)=自民推薦=と、いずれも新人で、元参院議員公設秘書の団体職員小川雅幸(おがわまさゆき)氏(56)、前市議の会社経営青木敏久(あおきとしひさ)氏(62)、会社役員佐々木豊(ささきゆたか)氏(60)の無所属4人が立候補を届け出た。2017年以来8年ぶりの選挙戦は、合併後最多人数で展開され、激しい選挙戦が繰り広げられている。19日の投開票を前に、下野新聞デジタルでは2001年以降の選挙戦を報じた記事を再掲する。

南那須町長選 大谷氏が無投票当選(2001年10月17日)

 神野紘宇町長の辞任に伴う南那須町長選は十六日告示され、前助役の大谷範雄氏(53)=無所属=のほかに立候補がなく、大谷氏が無投票で初当選した。

 同日午後六時から同町南大和久の選挙事務所で開かれた当選祝賀会で、大谷氏は「当選は町民の良識の判断の結果であり、感無量の心境。今後は大いに地域に出て町民と共に考え、行動していきたい」と決意を語った。

 大谷氏は同日午前の出陣式で、神野町政を引き継ぐことを強調、「民間での二十六年間の経験を最大限に生かす。住民の小さな声にも耳を傾け、町民主導の町づくりをしたい。国や県とのパイプを太くし、要望も積極的に行っていく。『夢づくりプラン十年』を着々と実現させていきたい」などと第一声を放った。

 出陣式には渡辺喜美衆院議員や国井正幸参院議員、川崎和郎、三森文徳両県議、近隣町長らのほか支持者ら約五百人が参加した。

 【大谷範雄氏の略歴】宇都宮東高、静岡大農学部卒。1996年6月、フタバ食品外食事業部長から町助役に就任。

 

烏山町長に福田氏 他候補に1000票超差 三つどもえ制す 投票率75.86%    (2002年4月16日付)

 任期満了に伴う烏山町長選は十四日、投開票が行われ、新人で会社役員の福田弘平氏(64)=無所属、自民推薦=が四千七百一票を獲得し、同じく新人で、元町議の会社役員樋山隆四郎氏(56)=無所属=と会社役員吉田公平氏(70)=無所属=を下して初当選を飾った。岩崎義一町長(71)の勇退で、四十四年ぶりの三つどもえの激しい選挙戦となったが、組織力を背景に幅広い支持を得た福田氏が、町職員の意識改革や町政の刷新などを訴えたほかの二候補を退けた。

 投票率は75・86%で、前回(75・28%)を0・58ポイント上回った。

 福田氏は岩崎町長を最高顧問に据え、渡辺喜美衆院議員や三森文徳県議、保守系町議の過半数の支持を得た。また町づくりを考える若手グループらの組織をフルに動かし「歴史と文化を生かした町づくり」などを訴え、支持を広げた。

 樋山氏は町議二期七年の実績と若さをアピール。いち早く出馬表明した吉田氏は「町政の刷新」を旗印に前哨戦を有利に展開したが、両氏とも支持の拡大には至らなかった。

 初当選を決めた福田氏は午後十時三十五分ごろ、同町城東の選挙事務所で、「多くの皆さんの支持を得て当選できた。烏山のために死ぬ気で頑張ります」などと喜びを語った。

◇2002年 烏山町長選開票結果(選管確定=14日午後10時25分)

当 4,701 福田弘平 64 無新

  3,586 樋山隆四郎 56 無新

  3,309 吉田公平 70 無新

 

◇解説◇「安定」選んだ町民

 新人三人による三つどもえの激戦は、組織力で上回る福田氏が千票以上の大差で初当選を果たした。町民は大きな「変革」よりも「安定」に一票を託したといえる。

 福田氏は二月中旬と最も出馬表明が遅れた。しかし、渡辺喜美衆院議員や系列県議とのパイプを強調し、過半数の町議や保守層を手堅くまとめた。さらに女性や若手グループが精力的に活動し、幅広い支持を得た。終盤には岩崎義一町長が街頭演説に駆け付け、「後継者」を鮮明にしたことも追い風となった。

 向田地区を地盤とする樋山氏は、町議二期の実績と若さをアピール。吉田氏は岩崎町政に批判的な勢力を背景に、草の根運動を展開した。両氏とも「変革」を求める有権者の掘り起こしにある程度は成功した。

 町観光協会長などを務める福田氏だが、行政経験はなく、首長としての力量は全く未知数。また、出馬に向けた一連の動きの中で、岩崎町長を支持していた町議が樋山氏支援に回るなど、議会内の構図も複雑に絡み合ったままだ。

 行財政改革、市町村合併など、町が直面する課題に今後どう対処していくのか。これからが本当の正念場とも言える。

 

那須烏山市長に大谷氏 岩崎氏を圧倒 7900票差 元町長同士の激突制す 投票率74.89%(2005年11月7日)