陽光が照らす東京・参宮橋駅の近く、実在する場所がコントラスト強めに描かれ、桜の花びらが舞う…、仲良く歩く小学生の男女。夕暮れの種子島、高校生の男女が立ち止まる、沈黙…、遠くでロケットが轟音(ごうおん)と煙を立てて大空へと打ち上がる。
新海誠監督が34歳で世に放ったアニメーション映画「秒速5センチメートル」(2007年)が、今、同じ年齢となった映像作家・写真家、奥山由之監督の手によって実写化されました。
主人公・遠野貴樹(松村北斗)と、篠原明里(高畑充希)の大人時代は、約1時間の原作アニメでは短めでしたが、約2時間の実写版では大幅に増量しています。
震えます。実在の場所、同じアングルでアニメを再現した踏襲ショットが現れる。「これ! これこれ」。聖地巡礼をすると気持ちはグンっと上がりますが、実写映画では、そこに登場人物が生身で存在しているのですから、たまりません。
揺さぶられます。アニメにはなかった場面の数々に。小学生時代に出会い、この上なく周波数が合う2人だったのに、お互いの親が転勤族だった貴樹と明里。中学進学を前に離ればなれに。中学時代、一度だけ再会を果たしたけれど、さらに遠距離になり、いつしか音信不通に。月日は流れ、大人になった2人には、何があったの?
「あの時、実はこんなことが起きていたのか…」。それを知る喜びだけではありません。実写版オリジナルな、ある設定を盛り込んで、観客をハラハラ、もどかしく、切なくさせます。序盤で思い知ります。「これは並の実写化じゃない! 油断できませぬ」。原作アニメや小説版との比較もまじえて、今作を徹底解剖してみた動画をYouTube「うるおうリコメンド」(略称うるりこ)にアップしました。ぜひお楽しみください。
▼解説動画URL
https://youtu.be/aAtxgt1lIjk
▼映画「秒速5センチメートル」 10月10日(金)全国公開
・原作:新海誠 劇場アニメーション『秒速5センチメートル』
・監督:奥山由之
・脚本:鈴木史子
・音楽:江☆(崎の大が立の下の横棒なし)文武
・主題歌:米津玄師「1991」
・劇中歌:山崎まさよし「One more time, One more chance 〜劇場用実写映画『秒速5センチメートル』Remaster〜」
・出演:松村北斗 高畑充希
森七菜 青木柚 木竜麻生 上田悠斗 白山乃愛
岡部たかし 中田青渚 田村健太郎 戸塚純貴 蓮見翔
又吉直樹 堀内敬子 佐藤緋美 白本彩奈
宮☆(崎の大が立の下の横棒なし)あおい 吉岡秀隆
【やまざき・あみ】タレント、モデル。写真集「Cantabile」(ワニブックス)ほか、デジタル写真集も発売中。1997年生まれ、東京都出身。音楽大卒。Netflix映画「シティーハンター」出演。フジテレビ「ラフ’s ラボ」レギュラー。