ニホンライチョウのひなの移送準備をする飼育員=10日午前、那須町大島の那須どうぶつ王国

 長野県の中央アルプスでの野生復帰に向け、那須町大島の那須どうぶつ王国は10日、飼育していた国の特別天然記念物で絶滅危惧種のニホンライチョウの成鳥3羽とひな2羽を中央アルプス駒ケ岳に移送した。

 環境省の「ライチョウ保護増殖事業」の一環で4回目。腸内細菌量など健康状態を基に同省の認定を受けた個体を移送対象とした。

 飼育員らは朝から5羽の体調確認や体重測定などを実施。出発直前、ライチョウは運動のためケージに放され、元気よく走り回ったりケージ内の草をついばんだりしていた。

 移送された5羽は約8時間半後、同駒ケ岳頂上山荘に到着した。ケージ内で現地の環境に慣れさせ、約1週間後に放鳥する予定。同施設は今月下旬にもライチョウのひなの移送を計画している。

 飼育員の橋本渚(はしもとなぎさ)さん(31)は「防疫や日々の体重管理などライチョウの飼育には緊張感が伴った」と振り返り、「野生下でも力強く生きてほしい」と願っていた。