東京・日比谷公園大音楽堂の舞台に立つハンバートハンバートの佐野遊穂(左)と佐藤良成(後藤渉氏撮影)

 東京・日比谷公園大音楽堂の舞台に立つハンバートハンバートの佐野遊穂(左)と佐藤良成(後藤渉氏撮影)

 東京・日比谷公園大音楽堂で開かれたハンバートハンバートの公演(後藤渉氏撮影)

 東京・日比谷公園大音楽堂の舞台に立つハンバートハンバートの佐野遊穂(左)と佐藤良成(後藤渉氏撮影)  東京・日比谷公園大音楽堂の舞台に立つハンバートハンバートの佐野遊穂(左)と佐藤良成(後藤渉氏撮影)  東京・日比谷公園大音楽堂で開かれたハンバートハンバートの公演(後藤渉氏撮影)

 フォークデュオ「ハンバートハンバート」が東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でライブ「ハンバート家の秋祭り」を開催した。9月29日に放送が始まるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」の主題歌を担当し注目は高まるが、ひょうひょうとしたたたずまいは変わらない。

 9月初旬の夕暮れ時、吹き抜ける涼風に秋の訪れを感じる絶好のコンディション。手を振りながら悠々とステージに登場した佐藤良成と佐野遊穂の2人は「急がなくていいですよ」と席に急ぐ観客に声をかけ、会場を和ませる。

 1曲目は「長いこと待っていたんだ」。たくさんの人が自分たちの歌を聴きにくる―、そんな「子どもの頃からの夢」がかなったと歌う、弾むようなカントリーソング。柔らかな声で歌う主旋律の佐野の声と、彼女を戯れるように追いかける佐藤の声が絶妙に響き合う。

 続いて佐藤がエレキギターに持ち替え、軽くひずませたギターで、昨年の最新アルバムから「一瞬の奇跡」を披露した。

 「いい具合に日が暮れてきたよ」とつぶやいた佐藤がバンジョーを手にすると、親とけんかした子どもの心象を活写した「おうちに帰りたい」を歌う。急に秋めいて、虫の音に包まれた野音の空気を味方に付けたような、親密な音が広がる。

 吃音の少年のもどかしい思いを描く代表曲「ぼくのお日さま」では、佐野が歌い出しながら、サビでは主旋律の佐藤を佐野が下から支える構図に。お互いを声で支え合いながら、夫婦デュオの持ち味を存分に発揮した。

 「あれをやりましょうか。まだみんなのよく知らない曲」。アンコールでおどけながら歌い始めたのは、朝ドラ主題歌の「笑ったり転んだり」。NHKの歌番組で初披露した際には緊張した面持ちだったが、野音ではリラックスした様子。「日に日に世界が悪くなる」。諦念をにじませたような詞は、不思議とほの明るい。

 来年1月に始まるツアー「歌ったり喋ったり」では、「ばけばけ」の舞台の島根県を皮切りに全国8カ所を回る。「俺たちにしてはうまくやったな」と佐藤はにやり。

 自分たちのペースでしぶとく、息の長い活動を続けてきた彼ら。「今後もゆるゆるとやっていきます。元気でね」と手を振り、2人は軽やかにステージを後にした。

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ツアー2026「歌ったり喋ったり」の日程は以下の通り

1月18日 島根県民会館大ホール

1月30日 札幌市教育文化会館大ホール

2月1日 トークネットホール仙台大ホール

2月8日 福岡市民ホール大ホール

2月14日 大阪・オリックス劇場

3月8日 広島・JMSアステールプラザ大ホール

3月14日 岡谷鋼機名古屋公会堂

3月21日 東京国際フォーラムホールA