宇都宮市と芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)が開業3年目に入った。利用者数は想定より約半年早く1千万人を超えるなど、順調に推移してきた。

 一方で、平日朝7時台の下りの便は混雑しており、緩和は喫緊の課題だ。また、開業と同時に再編したLRTの停留場に接続するバス路線の利用は思うように伸びていない。エリア内の公共交通の在り方も再検討する時期に来ており、地域住民の意見を吸い上げながら最適化を図る必要がある。

 運営会社の宇都宮ライトレールによると、開業前の需要予測は、1日当たりの利用者数を平日約1万6千人と見込んでいた。だが実際は約1万8千人が乗車し、予測を上回る状況だ。

 特に平日朝7時台の芳賀・高根沢工業団地に向かう下りは混雑が激しい。宇都宮駅東口停留場を出発した時点の乗車率は約120%に上る。

 混雑緩和には増便が有効な策と言えるが、新たな車両購入には数億円の費用を要し時間もかかる。当面の解決策として、混んでいる時間帯はダイヤの見直しで車両数を増やすなど改善に努めたい。

 宇都宮市などはLRT運行開始に合わせ、バス路線の新設・再編を行った。トランジットセンター(TC)である宇都宮大学陽東キャンパス(ベルモール前)停留場と清原地区市民センター前停留場に接続する路線を7系統新設した。沿線の地域内交通も各停留場に接続させ、乗り継ぎによる利用促進を図ってきた。

 バス利用は当初、収支率(運行経費に対する運賃収入)の目標を55%としていたが、陽東路線はその7割、清原では2割にとどまっている状況だ。市は、停留場までの利用者の交通手段が多様化していることが要因と捉えている。

 これまでも運行ダイヤの調整など、2次交通の利用促進策を講じてきた。同時に最適な公共交通の在り方について地域住民と議論をスタートさせており、これらを踏まえ最適解を探ってほしい。

 真岡鉄道茂木駅と宇都宮市間を走る路線バスが10月に廃止となることを受け、茂木町は代替としてデマンドバスを運行し、芳賀工業団地TCに接続させる。今後の高齢化による交通弱者増を見据え、真岡や市貝など隣接市町もLRTに接続する公共交通を前向きに検討してはどうか。