一人芝居「ヨナ Jonah」への意気込みを語る佐々木蔵之介

 ポーズを取る佐々木蔵之介

 佐々木蔵之介

 「魚の中で孤独に過ごすヨナに、ルーマニアで一人、芝居を作り上げようとする自分を重ねていた」と話す佐々木蔵之介

 ルーマニア・シビウのラドゥ・スタンカ国立劇場で行われた舞台「ヨナ Jonah」のワールドプレミア(Photo TNRS:ALEXANDRU CONDURACHE)

 一人芝居「ヨナ Jonah」への意気込みを語る佐々木蔵之介  ポーズを取る佐々木蔵之介  佐々木蔵之介  「魚の中で孤独に過ごすヨナに、ルーマニアで一人、芝居を作り上げようとする自分を重ねていた」と話す佐々木蔵之介  ルーマニア・シビウのラドゥ・スタンカ国立劇場で行われた舞台「ヨナ Jonah」のワールドプレミア(Photo TNRS:ALEXANDRU CONDURACHE)

 俳優の佐々木蔵之介が、ルーマニアの演出家プルカレーテとタッグを組んだ一人芝居「ヨナ Jonah」が10、11月に6都府県で上演される。佐々木は「東欧の香りと日本的な要素が融合した、なかなか見たことのない作品をお届けできると思う」と手応えを語る。

 ルーマニアの詩人ソレスクが、旧約聖書に登場する漁師で預言者ヨナの逸話を基に書いた戯曲。魚にのみ込まれ、恐怖の中で人生に思いを巡らせるヨナの姿が、詩的な言葉でつづられている。

 ドリアン助川が翻訳などを手がけた台本を受け取り、当初はその難解さに頭を抱えたという佐々木。「現地では教科書にも載っている作品。文化に深く根ざした要素の数々を、アジア人の自分がどう表現すればいいのか」。悩み抜いた末に「一人の漁師の物語」として演じることを決めた。

 日本公演に先立ち、5、6月にルーマニアや近隣3カ国を巡る公演を実施。稽古は4月末から約1カ月間、ルーマニアの都市シビウでプルカレーテ率いる現地のスタッフと共に行った。言葉は通じないが「通訳がいなくても、身ぶりで何とかなる。壁はそれほど感じなかった」と振り返る。

 ただ、日本との制作スタイルの違いには驚いたようだ。「日本では僕らが考えるまでもなく、演出家やスタッフが段取りを決めて準備を整えてくれる。だけど向こうでは待っているだけだと何も進まない」。疑問点や改善の提案があれば積極的に発信し、小道具に使えそうな磁石を自らスーパーで購入したことも。「話し合いの中でお互いに『そんなやり方があるのか』と気付くことも多く、刺激的な日々でした」

 東欧各国でもせりふは日本語のまま、字幕付きで上演した。序盤は動きも少なく「日本語を知らない観客がうまく作品の世界に入れるのか、少し不安だった」という。

 だが、幕が開くと不安は払拭された。「日本語の響きや、音のない『無音』にも観客が耳を澄ませているのが伝わった。『分からない』ことが逆に、皆さんを引きつけたんだと思う」。日本公演では「言葉の意味が分かるからこその不思議さに、観客がどう反応するのかが楽しみ」と話した。

★舞台「ヨナ Jonah」公演日程

10月1~13日 東京芸術劇場シアターウエスト

10月18日 石川・北國新聞赤羽ホール

10月25、26日 長野・まつもと市民芸術館小ホール

11月1日、2日 水戸芸術館ACM劇場

11月8、9日 山口情報芸術センタースタジオA

11月22~24日 大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール