鹿沼市下沢の仏像修復工房「三乗堂」で修理が進められてきた大岩山多聞院最勝寺(足利市大岩町)の足利市指定文化財「木造金剛力士立像」が足部分の欠損部分を埋める作業などを終え、りりしい仁王立ち姿を約3年ぶりに取り戻した。

修復作業を経て自立した最勝寺の金剛力士像=15日午前10時30分、鹿沼市下沢
寺の山門に安置されていた木像は制作年不明で、右の阿形(あぎょう)像は高さ280センチ、左の吽形(うんぎょう)像は285センチ。寺南東に接する両崖山で2021年に発生した火災では一部が緊急搬出され、大規模修理が不可避となった。

阿形の面部
木像は地面に近い足部分の損傷が激しく、22年春に修理が始まった。欠けた部分をヒノキで埋めるなどの作業を施し、6月12日に自立した。今後は新しくはめ込んだ箇所の色を調整するなどの作業を続け、来春再び寺の山門に姿を見せる。

解体した面部の木材を調査する大山助教
15日は東北大から専門家が訪れ、制作年代を特定する調査を始めた。

解体した面部の内部
自立した像を見た寺の沼尻了俊(ぬまじりりょうしゅん)副住職(36)は「ついにここまで来た」と感慨深げ。職人の井村香澄(いむらかすみ)さん(36)は「像を自立させるという大きなテーマを果たせて安心した」と笑みを浮かべた。

解体した面部の木材を調査する大山助教