「年収の壁」を意識して働く女性の給与明細。累積支給額を確認しながら勤務時間を調整している=6月下旬、宇都宮市内(画像は一部加工しています)

 働く時間をもっと自由に選べるようになる-。そんな期待はしていなかった。

 宇都宮市内の美容室で働く女性(38)は月末が近づくにつれ、もどかしさを抱えながらはさみを握っている。保育園児2人を育てるパート従業員。夫(38)の扶養に入っている。

 所得税が生じる「年収103万円の壁」が通常国会で見直され、160万円に引き上げられた。昨今の物価高は頭が痛い。「子どもの将来のためにもっと働いて手取りを増やしたい」。だが次の壁にぶつかることは分かっていた。