◎今週の一推しイベント
【12日(土)】
▽「レオ・レオーニの絵本づくり展」(~8月27日、渋谷区・ヒカリエホール)
絵画、デザイン、絵本など、多彩な分野で活躍したレオ・レオーニさんの“絵本作り”に焦点を当てた展覧会が、渋谷で開催されている。原画約100点などを展示し、多彩な技法で絵本を制作した作者が「作画とストーリーに込めた思い」を紹介する。
ねずみたちの物語「マシューのゆめ」は、表現に奥行きを与えるため新聞紙やクラフトを用いたコラージュ作品。スタンプの色や押す向きを変えるスタンピングの技法で、表情豊かな緑の葉っぱを描いた「あいうえおの き」は、木に暮らす文字たちが、ことば虫に教えられて“平和を願う”メッセージを作り出すストーリーだ。
学芸員の岡田由里さんは「絵本の創作を始めた大きな理由の一つに、多様性を受け入れる社会や戦争と平和といったテーマを、子どもにも大人にもわかりやすく伝えたいという気持ちがあったと思う」と話す。
ひとりぼっちの小さな魚が広い海を冒険し成長していく「スイミー」は、レオーニ作品の翻訳を多く手がけた谷川俊太郎さんの名訳で知られ、小学校の教科書にも掲載。故郷オランダやイタリア、米国を転々とし、時に疎外感を味わいつつ、広告やデザインの仕事経験を絵本制作に生かしていった作者の姿がスイミーに重なる。原画は行方不明だが、「習作」とみられる珍しい作品が並んだ。
「誰もが違っていて当たり前。ありのままの自分でも輝くことができるという作者の思いが伝わってくる。そんな作品の数々に触れながら親子で対話してもらいたい」
○そのほかのお薦めイベント
【12日(土)】
▽「マンゴー 杏仁 黒糖のパフェ」(~31日、港区)
「アルマーニ/カフェ表参道」が7月限定で、トロピカルなマンゴーパフェを提供している。
フレッシュマンゴーの甘みとまろやかなコクが、ソルベと共に口いっぱいに広がる。塩気のきいた黒糖クランブルと、なめらかな杏仁豆腐の豊かな風味を楽しみたい。
▽「大橋歩 村上ラヂオの版画展」(~9月21日、新宿区)
イラストレーターの大橋歩さんが作家村上春樹さんの連載エッセー「村上ラヂオ」に銅版画で描いた全挿絵を、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)で紹介している。
作品は2000~01年と10~12年、雑誌「アンアン」に連載。大橋さんが銅版画全214点を同館に寄贈した。猫、植物、台所やバーにたたずむ人の姿など、さりげない日常の一コマが当時のエッセーの世界観を伝える。
カフェやラボ、通路など館内全体のあちこちに展示し、リラックスしながら大橋ワールドを体感できるよう工夫した。キュレーターの小高真紀子さんは「建築家隈研吾さんがリノベーションを手がけた建物のぬくもりある雰囲気に、ぴたりとはまるやさしさがあふれている。こんな時代にこそ、この場所に来て挿絵の数々から元気をもらってほしい」と話す。
大橋さんが創刊号から手がけた雑誌「平凡パンチ」の表紙や、ファッションブランド「ピンクハウス」のポスターなど代表的なカラー作品も展示。
【16日(水)】
▽「特別企画 ツカレからの脱出~疲れとやすみのサイエンス」(~9月15日、江東区、入場無料)
疲労の原因や回復法について学べるイベントが、日本科学未来館で行われる。
日常生活で疲れが発生するメカニズムを展示で解説。体験ゾーンでは、最先端の映像投影技術により自然に包まれるような感覚を味わえる「デジタル森林浴」や、深呼吸のリズムを伝える装置「シンコキュウ」などを試せる。
【19日(土)】
▽「趣味の文具祭2025~日本でいちばん深く、楽しい文具のお祭り~」(~20日、台東区)
文房具の専門誌「趣味の文具箱」が企画・主催し、「見る、買う、体験する」をテーマにした文具イベントが、浅草橋ヒューリックホール&ヒューリックカンファレンスで開かれる。
国内外の文具メーカーや文具店、職人らが豊富な種類の筆記用具やシステム手帳、紙製品などを紹介する。ビンテージのノートを扱う店や、万年筆の調整を行う専門店も参加。福島、山形、神戸など各地の文具店は、ご当地の魅力が詰まった製品をそろえた。イベントのために開発されたオリジナル商品も。
同誌は創刊20年を昨年迎えた。編集者の石井正将さんは「SNSの影響もあり、近年の文具愛好家たちは深く濃く自分の好みを追求するニッチな層。ここでしか手に入らないレアなアイテムとの出合いをより多くの人に楽しんでほしい」と話す。
文字で記録を残す習慣が見直されるなど、人々の“筆欲”も高まっているという。「デジタル時代に、ぬくもりあるアナログ回帰の傾向が感じられる。ボールペン一つでも、何げない日常の道具にこだわることで生活が豊かになると気づいてもらえればうれしい」
会期中、文具好きで知られるフリーアナウンサーの武田真一さんと堤信子さんの対談イベントなども開催。