黒磯が優勝した1980年の針生幸一さんのユニホームとメダル。当時の写真には甲子園で活躍した思い出などが残る(それぞれ針生由香さん提供)

 全国高校野球選手権栃木大会における下野新聞の名物連載「白球の詩」が始まった1980年。決勝を制した黒磯のエース針生幸一(はりうこういち)の体が2度、3度、小雨をはじき返すように県営球場の宙を舞う。2安打完封。栃木大会の優勝旗が初めて鬼怒川を渡ったこの7月30日から現在まで、これが県北勢唯一の甲子園出場となっている。

 針生さんは昨年6月25日、62歳で天国へ旅立った。「最初は自信はなかった。