買い物客などで渋滞する駅前で政策を訴える候補者=5日午前、宇都宮市内(画像は一部加工しています)

 参院選公示後、初の週末を迎えた5日、栃木選挙区(改選数1)の立候補者は人出を求め、県内を駆け回った。報道各社の序盤情勢を受け、危機感を示す陣営や「上々」と受け止める陣営など反応が分かれる中、大物弁士も続々と本県入りし、選挙戦はますます熱を帯びた。

 参政党新人の大森紀明(おおもりのりあき)氏(54)は宇都宮市内や県北地域で街頭演説をこなし、演説の様子は動画投稿サイトでライブ配信した。

 大森氏は「視聴者はどんどん増えている」と手応えを語り、報道各社が報じた序盤情勢を「上々の滑り出しだ。若者だけではなく、60代や自民支持層も取り込めている」と前向きに受け止めた。「あと1週間でさらに支持を広げる」とマイクを持つ手に力を込めた。

 立憲民主党新人の板津由華(いたづゆか)氏(37)は県南部を中心に精力的に活動した。午後7時にはJR小山駅前で演説し、応援に立った岡田克也(おかだかつや)前幹事長は序盤情勢を踏まえて「板津さんは互角に戦っているが、まだ2週間ある。気を抜いた方が負ける」と気を引き締めた。

 岡田氏はコメ価格高騰への政府の対応を批判してさらなる支援を呼びかけ、板津氏は「栃木から日本を変えることを示したい」と訴えた。

 自民党現職の高橋克法(たかはしかつのり)氏(67)は、日光市内を中心に活動した。集会では陣営関係者が世論調査を引き合いに「混沌(こんとん)としている。多くの方に期日前投票をお願いして」と危機感をあらわにした。

 高橋氏は「選挙が楽になるために、無責任に消費税を下げるとはいえない」と語り、政権与党として他の野党候補者との違いを強調。集会には浅尾慶一郎(あさおけいいちろう)環境相も応援に駆け付けた。集会後、高橋氏は「全力を尽くすだけ」と誓った。

 共産党新人の福田道夫(ふくだみちお)氏(66)は佐野、足利両市を重点的に回り、消費税廃止を目指した5%への減税や、医療者の賃金上昇に向けた診療報酬の底上げなどを訴えた。

 佐野市内の商業施設での演説には塩川鉄也(しおかわてつや)国対委員長が応援に駆けつけ、物価上昇を上回る賃上げのため中小企業への補助金の導入を訴えたほか「参院選で与党を少数に追い込み、国民の声が生きる政治を進めていこう」と声を張った。

 政治団体「NHK党」新人の高橋真佐子(たかはしまさこ)氏(60)や無所属新人の笠間信一郎(かさましんいちろう)氏(76)は街頭演説や集会などは行わず、高橋氏は交流サイト(SNS)を更新するなどした。