鹿沼市内の協賛店で投票済み証を提示すると割引などの特典が受けられる「選挙割キャンペーン」は今年、開始から丸10年を迎える。市民組織「かぬま選挙割実行委員会」がこれまで17回の選挙で実施し、利用実績、協賛店ともに増えている。20日投開票の参院選を前に、浜野昌平(はまのしょうへい)代表(83)にこれまでの成果や新たな取り組みなどを聞いた。
-選挙割とは。
「市選挙管理委員会が投票所で希望者に発行する投票済み証を活用し、協賛店でサービスを受けられる。2015年9月の市議選から、市内に投票所を置くすべての選挙で行ってきた。投票率アップと地域商業の活性化が狙い。当初から今まで、事務局の東部台コミュニティセンター所長と二人三脚で運営している」
-取り組みの成果は。
「投票済み証の利用件数は15年市議選の227件から、直近の24年知事選は1340件に増加。協賛店は3店から18店に増えた。少しずつ市民に浸透しているのを肌で感じる。投票率は下がり続けているが、活動をしていなかったらもっと下がっていたかもしれない」
-続けることができた背景は。
「市がキャンペーンの周知や企画など積極的に協力してくれた。近年は実行委が東部台コミュニティ推進協議会に加入し、協議会の資金援助を受けられるようになった」
-これからの課題は。
「協賛店は東部台地区が中心となるなど、市内全域の盛り上がりには至っていない。インターネットを通じた周知も不十分だ。会の代表の後任探しにも本腰を入れないといけない」
-「特定事業者への利益供与になる」など、選挙割に否定的な声もある。
「候補者の親族が営む店には協賛を遠慮してもらうなど、公職選挙法に従い政治的な公平性は保ってきたつもりだ。『投票は自分の意思で』という意見もあるが、投票率が下がり続けている現状に市民として何らかの形で歯止めをかけたい。若者を中心に、選挙に少しでも関心がある人たちの後押しになれば」
-今回初めて選挙割マルシェを開く。
「投票所の東部台コミュニティセンターで開催する。通常の選挙割は投開票日の翌日からサービスを受けられるが、マルシェでは期日前投票期間中の7~19日と投票日当日の20日に実施する。親子連れで投票所に来るきっかけをつくろうと、事務局を担う同センター所長が主体的に考えてくれた。飲食店が複数出店し、各店で投票済み証を提示すると割引を受けられる。親子で利用してほしい」
【略歴】1941年、宇都宮市生まれ。都内の生命保険会社を退職後、鹿沼市緑町1丁目に移住。同市明るい選挙推進協議会東部台支部長、同会長を歴任。