「バンカーのないコースでプレーしたい」「あの深いバンカーを埋めてほしい」。バンカーを苦手とするアマチュアゴルファーは実に多い。今回はそのバンカーについて触れてみたい。
由来は、16世紀のスコットランドで石炭貯蔵をするための穴蔵の「ボンカール」。このボンカールが存在する土地をゴルフ場にするべく計画したが、草を生やすにしても何年もかかるし、土を入れるにも時間が必要だ。そこで身近にある砂を入れたのが、バンカーの誕生とされている。
「ガードバンカー」「フェアウエーバンカー」「サイドバンカー」「クロスバンカー」など、いろいろな呼び名のバンカーがあるが、このさまざまなバンカー表現は日本人ゴルファーの感性が生んだもの。本場ではバンカーはバンカーで、区別などしないそうだ。
バンカーの多いゴルフ場として有名なのが、河口湖CC(山梨)だ。27ホールで195個のバンカーが口を開いて待っている。1ホール当たり平均7個以上。宇都宮CCは27ホールで132個だから、その多さは際立っている。
バンカーで誤球した場合、「無罰」と記憶しているオールドプレーヤーは多い。2007年までのルールでは、バンカーや池などのハザード内で確認のためにボールを拾い上げることが認められなかったことからだろう。
08年以降はハザード内でもボールの確認ができるようになり、その代わりバンカーで誤球したら2打罰となった。誤球した場合、そのストロークはカウントせずに、正球でプレーを続けなければならない。
バンカーと言えば、サンドウエッジ。伝説のプレーヤー、ジーン・サラゼンによって1930年に発明された。栃木の偉人・那須の神様、小針春芳(こばりはるよし)プロ(1921~2019年)は「初めてサンドウエッジを打った時は驚いた。こんなに簡単にバンカーから打てるのか」と振り返っていたことを思い出す。それまではピッチングウエッジなどを開いて、脱出していたという。
バンカーはプレーヤーに意地悪するばかりではない。時には助けてくれることもある。
OBくいに向かっていくボールを寸前で“キャッチ”してくれるクロスバンカー。トップしたアプローチをOBゾーン寸前で受け止めてくれるガードバンカーなど、思い当たるプレーヤーは多いだろう。
苦手とせずに、仲良くすることも大切だ。マスターズチャンピオンのジャック・バークの名言がある。「バンカーショットは、最も易しいショット。なぜならボールを打たなくていいのだから」。そんなに易しいなら、練習して“バンカー恐怖症”の病を治してみてはどうだろう。