◎今週の一推しイベント
【28日(土)】
▽「パラッツォ・モルテーニ東京」(通年営業、港区、事前予約制)
国際的に活躍するベルギー人クリエーティブディレクターのヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンさんによる日本では初の建築物「パラッツォ・モルテーニ東京」が、青山にオープンした。イタリアの総合インテリアブランド「モルテーニ」の世界観を、各国にある旗艦店とは違う特別な建築や内装で表現した、ミラノに続く二つ目の場所となる。
「モルテーニは1934年創業の歴史ある会社。家具や収納、建具によって、心地よさを感じる空間を手がけ、豊かなライフスタイルを提案してきた。その考え方を踏まえ、今回は日本の美意識を取り入れた」とブランド担当者の内藤亜実さんは話す。
43枚のガラス窓と厚みのある壁からなる外観は、京都の桂離宮から発想を得て設計した。地下1階と地上3階建て。内部にはリビングとダイニング、キッチンがつながった回遊性のある空間が広がり、装飾壁やガラスのスライディングドアが日本のびょうぶ、ふすま文化を連想させる。
ヴァン・ドゥイセンさんがデザインしたソファやテーブルと共に、20世紀イタリアを代表する建築家ジオ・ポンティやデザイナー深澤直人さんによるアームチェアを並べ、時代や国境を超えたデザインの融合を実現。「アート作品なども同じ空間に配置することで、自宅にいるような安息感を演出している」
最上階は寝室やバスルームを備えた住空間。一つの部屋から別の部屋を眺めたとき、一枚の絵のように感じさせる設計と家具配置も見どころだ。
「“邸宅”でゆったりと過ごす時間を体感してもらえるよう、特別なもてなしを用意した。訪れる人それぞれの感性に呼応する“何か”を、ここで見つけてもらえたらうれしい」
○そのほかのお薦めイベント
【28日(土)】
▽「ヘアカラー展 なぜ染める、なぜ染まる。」(~8月11日、世田谷文化生活情報センター生活工房、入場無料)
身近な“髪の色”をテーマに、文化・社会・個人の関係をとらえる展覧会が、三軒茶屋で行われている。
家庭用のヘアカラー最大手「ホーユー」(名古屋市)が所蔵する、明治時代から現在の多彩な商品パッケージと、珍しい看板や広告の数々を展示。白髪隠しからファッションツールへ移り変わった染毛の歴史をひもとく。
ホーユー前身の水野甘苦堂が1921(大正10)年に発売した「元禄」は、低価格と品質の良さで約70年間愛された白髪染め。箱に歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の大星由良助が描かれていた。57年に多色化を実現した商品「ビゲン」の登場以降は、毛髪の傷みを抑えつつ見た目の美しい髪色にできる商品が主流となる。
ファッションとしてのヘアカラーの大転換期は1990年代半ば。歌手安室奈美恵さんの茶髪をまねたギャルたちが渋谷の街に出現した。「髪色に対する意識ががらりと変わり、自己表現の手段として定着した。この流れで発売された『ビューティーンヘアカラー体験』シリーズは、今も人気の高い“アッシュカラー”の先駆けとなった」と学芸員の斎藤直子さんは話す。
グレーヘアという染めない選択肢もある今、年齢や性別にとらわれない自分らしさを探ることのできる展覧会だ。
【1日(火)】
▽「ル・ショコラ・アラン・デュカスのサントノレ・ショコラ」(~31日、中央区)
チョコレート専門店「ル・ショコラ・アラン・デュカス」が、日本橋の東京工房に併設するカフェ「ル・サロン」で新作スイーツを提供する。
パイ生地にミニシュークリームを飾ったパリの伝統菓子サントノレを、新たな発想でアレンジした「サントノレ・ショコラ」。ショコラ風味の六角形パイ生地の上に、キャラメリゼしたショコラシューを並べ、シューには濃厚なクリームを詰めた。深みのあるカカオの味わいと、芳醇な香りが楽しめるだろう。
【3日(木)】
▽「Rollbahn Diary Workshop Moment Journal」(17時、目黒区・OPEN NAKAMEGURO、事前予約制)
リングメモ「ロルバーン」シリーズで知られるステーショナリーメーカー「デルフォニックス」が、手帳文化の良さを伝えるため、Z世代を対象にしたワークショップを、中目黒のカフェで開催する。5月に続く第2回の催しとなる。
“あえて紙に書き残すこと”の価値を若者たちに伝え、記録する意味を見つめ直す取り組み。参加者は自分のスマートフォンで撮った写真や動画に添える短い言葉を考え、スマホだけではなく、ノートにも書き記す。書き方に厳密なルールは設けず、人気商品「ロルバーン ダイアリー」に自由で自分らしい文章を表現していく。
5月のワークショップの参加者からは「これなら日記を続けられる」「気持ちを(文字で)言葉にすることで、思っていた以上に記憶がよみがえった」などの感想が寄せられた。
近年は、SNSのシェアだけでなく、頭に浮かんだことを紙に書き出すジャーナリングの習慣が広まるにつれ、日付にしばられずにスタンプなども使って記録する手帳が人気という。
ふだん手帳を持っていなくても、“書く行為”が、未来の可能性を広げてくれることを知る機会となりそうだ。