「第25回バレエ・コンクールIN横浜」のコンテンポラリーシニア部門で、いずれも宇都宮市の星(ほし)美渚(はるな)さん(19)が1位、田仲優奈(たなかゆな)さん(18)が2位に輝いた。市内の同じバレエスタジオで学び、共に今春、宇都宮短期大付属高を卒業。秋からは英国に留学する。旅立ちを前に手応えを得た2人は、「舞台で踊る以外にも活躍の場を広げたい」「最先端のダンスを学び日本に広めたい」と決意を新たにしている。
同コンクールは5月、横浜関内ホールで開かれた。コンテンポラリーは、型や表現方法に決まりがなく、自由な身体表現で「時代の先端」を体現する。
星さんが選んだ「Caro(カーロ) Mio(ミオ) Ben(ベン)(イタリア語で『愛しいひと』の意)」は、叙情豊かなアリエッタ(小さなアリア)。1年半前から創作を始め、「家族や友人など、自分の中の『愛しいひと』を思いながら踊った」という。指導した大金歩(おおがねあゆみ)さんは、「音と動きの調和が高評価につながったのでは」とみる。
9月からは、大金さんも学んだロンドン西部にあるランベール・スクールに進む。「バレエとコンテンポラリーを同じ比率で学べるのが魅力だった。世界で踊れるダンサーになりたいし、振り付けや指導などいろいろな方向を目指したい」と将来を思い描く。
田仲さんは、舞踊に打ち込んだ自らの時間を重ね合わせた「光陰」で出場。当日まで振りを手直しするほどのこだわりで、過ぎていく時間の速さ、光と陰の二面性を描いた。ロンドン南東部のトリニティ・ラバン大ダンス学部に進学し、「その場で考え表現する『即興』のレッスンが好き。日々思考力や観察眼を鍛えて踊りにつなげたい」と目標を掲げる。
内面から湧き上がるものを形にするコンテンポラリーは、技術だけでなくダンサー自身の個性や精神性も重要な要素。大金さんは「2人とも何よりも踊ることが好きで芯が強い。これらからも自分を磨いていってほしい」と教え子たちにエールを送る。
星さん、田仲さんをはじめ県内からオーディションで選ばれた25人が出演する「全国合同バレエの夕べ」が8月、東京・新国立劇場で開催される。上演作品はチャイコフスキー「バイオリン協奏曲」で、振り付けは大金さんが担当する。