◎今週の一推しイベント
【21日(土)】
▽「海から学ぶ 土壇場力」(14時、港区・青朋ビル、事前予約制、オンラインでも開催)
NPO法人海育プロジェクト(神奈川県葉山町)が沖縄で開く子どもたちの海の冒険プログラム「セーリングキャンプ in 座間味」(12月26~29日開催予定)の前触れイベントとして、著述家で経営コンサルタントの山口周さんと海洋冒険家の白石康次郎さんが青山で対談する。
このキャンプ活動を応援し家族で参加経験もある山口さんは、経営論のベストセラー「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」で知られる。最新刊「人生の経営戦略」では、複雑化した世界でさまようビジネスマンたちに新たな生き方を提案。今回の対談は親子にも対象を広げ、白石さんの海での体験談などを通して、人生の「土壇場力」をどう身に付けるかを語り合う。
山口さんは10年前に東京から葉山へ移住し、子どもたちがセーリングを習い始めた。「セーリングで勝つために大切なのは、人より上手にではなく、人と違うことができるかどうかだ」と話す。予測不能な天候に対応し、自分の力で風をつかまえ航路を選ぶスポーツ。「親や先生の意見に左右されずに、何事も自分で決める力が鍛えられると思う」
小学3年からセーリングを続けている長男は一昨年、ニュージーランドの高校に進学。「海に触れることで胆力が身につき決断できた。偏差値の高い日本の学校へ進む以外に未来の選択肢はある。親もそのことに気づくべきだと思う」
単独無寄港無補給で世界一周する過酷なヨットレース「バンデ・グローブ」で、今年2度目の完走を果たした白石さんとの対話を楽しみにしている。「死と直面するようなレースに、たった一人で挑戦し、まさに土壇場の日々を生きている。大企業に入ることが幸せという図式が崩壊しつつある今、こんな生き方もあると知ってほしい」
○そのほかのお薦めイベント
【14日(土)】
▽「水を味わう 水を纏う“Savor water,Embracing water”」(~27日、中央区・ISSEY MIYAKE GINZA-CUBE、入場無料)
人の暮らしに欠かせない、生命の源である“水”を浮き彫りにする展覧会を「イッセイ ミヤケ」が銀座で開いている。料理家・横山夫紀子さんと写真家・秋元茂さんの共著書「百味菜々」から着想を得た企画だ。
同書は、食材や器に盛りつけた料理写真や、文化人の寄稿からなる名著。故三宅一生さんも「着る、たべる、生きる。料理もデザインも衣服も、人間の営みを介してこそ生命の輝きにみちています」と記している。
書籍収録の野菜料理の写真を拡大展示した会場に、昆布とフキから抽出した香りが漂い、だしや野菜の味を想像させる。水の流れのような音楽がやさしく耳に入ってくる。
天井からつるした足利銘仙「ほぐし絣」のインスタレーションは、空間デザイナー柳原照弘さんが監修。職人が捺染印刷を施した絹織物を昆布に見立てた大作だ。「あえて未完成の織物を展示することで、料理のこしらえと、衣服制作の丁寧な過程に宿る共通の精神を表現した」と企画者の遠山夏未さん。
これらの展示が、味覚を除く嗅覚、聴覚、視覚、触覚を刺激する。「心地よい空間で音や香りに包まれながら、身体で食や水を感じてほしい」
会場入り口のウインドーには、秋元さん撮影のフキの写真を印刷したタペストリーも。春の山菜が放つみずみずしい青さが、食の風土と気候を想起させる。
本展は京都市の「ISSEY MIYAKE GINZA-KURA」でも開催中(~25日)。
【19日(木)】
▽「N.E.R.O. スペシャルパーティー」(18時、渋谷WWW)
渋谷系の代表的バンド「フリッパーズ・ギター」の創生期メンバーで、音楽プロデューサーの井上由紀子さんが、新たなメディア「N.E.R.O.(エヌイーアールオー)」を5月に設立した。その記念ライブが、国内外3組の若手ミュージシャンを招いて渋谷で開催される。
井上さんは1987年に小山田圭吾さんと2人でバンドを立ち上げ、キーボードを担当。小沢健二さんらが加入後の89年、最初のアルバムが全曲英詞でリリースされた。初期フリッパーズでプロデューサー的な役割を果たした井上さん。「小沢さん、小山田さんという才能を世に知らせるきっかけをつくった経験は、バンドを抜けた後もライブプロデュースや雑誌編集の仕事に生きている」と語る。
2010年にカルチャー誌「nero magazine」を創刊。谷川俊太郎さん、オノ・ヨーコさんら著名クリエーターや、日本では知られていない海外アーティストを紹介してきた。ファッションデザイナーのエディ・スリマンさんの協力も得て、斬新な編集が話題に。22年までに14号を刊行した。
新設メディアでは、国やジャンルにとらわれずに音楽を特集するジン(ZINE)刊行をスタート。第1号は記念ライブに登場するメルボルンの2人組バンド「HighSchool」を特集し、会場でも販売する。
「同じステージに立つパリ拠点のPOL、日本のLUBY SPARKSも、まだ無名だが素晴らしいミュージシャンたち。自分が出会った未知の若い才能を世界に向け発信していきたい」
【21日(土)】
▽「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室 第164回」(10時、武蔵野市・クレヨンハウス東京店、オンラインでも開催)
8歳でイランから来日した俳優サヘル・ローズさんが、世界難民の日(20日)に合わせた講演会を、吉祥寺で開催する。
自身の経験や著書「Dear 16とおりのへいわへのちかい」を基に、難民の子どもたちが置かれた状況について語る。