最後のワンプレーまで勝敗の行方が揺れ動いた激闘の末に、歓喜が待っていた。会場の横浜アリーナには、優勝を信じ声援を送り続けたブレックスファンの大歓声が響き、身に着けた応援カラーの鮮やかな黄色が躍った。県内のスポーツバーでも県民が固唾(かたず)をのんで決戦の行方を見守り、雌雄が決した瞬間、喜びの頂点に達した。
「最高」「ありがとう」 横浜アリーナ喜びに包まれ
優勝決定の瞬間、会場は最高潮の興奮に包まれた。「感動した」「ありがとう」。熱狂の中、感謝の言葉が観客席から飛び交った。

「感無量。最高の戦いを見せてもらった」。15年間にわたり応援を続けている足利市川崎町、会社役員板橋毅(いたばしたけし)さん(59)は、ホームゲームの全試合に足を運んできた。
序盤から琉球にリードされる苦しい展開を逆転しての頂点。今季途中で急逝したケビン・ブラスウェル監督に思いをはせ「選手は諦めず、監督の思いと共に戦った。選手、スタッフ、ファンが一体となったと感じた」と声を震わせた。
会場には試合開始の3時間前から続々とファンが姿を見せ、観客席を埋め尽くした。6割ほどがブレックスカラーの黄色で染まり、勝利を信じる熱気であふれかえった。

ファンは攻撃になると「レッツゴー栃木」と大声を張り上げ、チームを鼓舞。試合は一進一退の手に汗握る展開が続き、第4クオーター、比江島慎(ひえじままこと)選手が逆転の3ポイントを決めると、盛り上がりはピークに。優勝が決まった瞬間はブレックスファンが一斉に立ち上がり、両手を上げて喜びを表現した。
娘、孫と共に訪れた宇都宮市雀の宮、大野道子(おおのみちこ)さん(71)は「感動しかありません。選手を信じて間違いなかった」と涙を拭った。次女の東京都八王子市、主婦泉絵美(いずみえみ)さん(43)は「ずっとドキドキして見守った。選手にありがとうと言いたい」と感謝していた。
「よっしゃーっ」宇都宮から勝利の雄叫び
「よっしゃーっ」と喜びの雄たけびが響いた。バスケットボールBリーグの王者を決める決戦が行われた27日、宇都宮市春日町のスポーツカフェ「ラウンド87」にはブレックスのファン17人が集まり、手に汗握る試合展開を祈りと共に見守り、優勝の感動を分かち合った。

試合開始前から続々と集い、前回の試合を振り返る映像を見て士気を高めた。竹内公輔(たけうちこうすけ)選手に期待しているという同市双葉1丁目、看護師佐藤一美(さとうかずみ)さん(55)は「横浜の現地には行けないけれど、みんなで全力応援する」と気合を入れ直した。
試合が始まると、全員の目が85インチのテレビにくぎ付け。得点が入るたびに拳を握って歓声を上げた。前半の劣勢をはね返し、第4クオーターで逆転すると熱気は最高潮に達した。
試合終了と優勝決定を告げるブザーが鳴ると、店内は大きな拍手に包まれ、涙を流して喜ぶ姿もあった。同市横山3丁目、会社員竹内久勝(たけうちひさかつ)さんは「ドラマのような勝ち方だった。感無量です」と喜びに浸った。
県内関係者がチーム祝福
宇都宮ブレックスが優勝を決めた27日、本県バスケットボール関係者からも祝福の声が上がった。
県協会の小曽戸和彦(こそどかずひこ)会長(73)は「とてもいいゲームで興奮した。我慢して最後にニュービルと比江島のスリーポイントが決まった時にはいけると思った。CSを通じてディフェンスの素晴らしさが光っていた。県民に勇気と感動を与えてくれた。本当に素晴らしいチーム」と喜んだ。
福田富一(ふくだとみかず)知事の話 「3度目の王者はBリーグ史上初で、大変うれしく思います。これまでブレックスを支えてきたファンはもちろん、多くの県民に大きな喜びと感動を与えてくれました。快挙を県民とともに祝福します。皆さんの凱旋を心待ちにしています」
佐藤栄一(さとうえいいち)宇都宮市長の話 「リーグ史上初となる3度目の王者に返り咲いたことは市民の誇りであり、この上ない喜びです。選手とスタッフ、黄色一色で後押しした『日本一のファン』が一丸で成し遂げた快挙で、多くの市民に勇気と感動を与えてくれました」
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