「カーペンターズ」の代表曲「愛のプレリュード」を手がけたアメリカの作曲家でアーティストのロジャー・ニコルスさんが5月17日夜(現地時間)、米西部オレゴン州の自宅で死去した。2年前からパーキンソン病を患っていた。84歳。日本の関係者に家族から連絡があった。
ポール・ウィリアムスさんと組み、カーペンターズの「愛のプレリュード」「雨の日と月曜日は」など名曲の数々を作曲した。
また自身のグループによる1968年のアルバム「ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ」は、発売から約20年を経てソフトロックの名盤として日本で再評価され、「ピチカート・ファイヴ」や「フリッパーズ・ギター」など、90年代に「渋谷系」と呼ばれる音楽の潮流を生み出したアーティストたちに大きな影響を与えた。
遺族が出した声明によると、2年前にパーキンソン病を患い、最近になって呼吸器の病気も発症していた。自身が手がけたお気に入りのアルバム「Herstory The Mother’s Tale」を流し、家族に見守られながら亡くなったという。
家族は日本のファンに向け、次のようなメッセージを寄せた。
「ニコルス家は、ロジャーと彼の音楽を長年にわたって愛してくださった日本のファンに心から感謝しています。ロジャーはファンを愛し、日本を訪れた際のことをとても良い思い出として語っていました。私たち家族もいつか日本を訪れたいと思っています」
日本では8月、ニコルスさんが手がけた楽曲を集めた2枚組みのアルバム「ロジャー・ニコルス・ソングブック」がソニー・ミュージックレーベルズから発売される予定だ。
ソングブックの監修を務めたアンソロジストの濱田高志さんは「ロジャーとは8年前から彼の楽曲を集めた企画盤の制作を進めていました。コロナ禍を挟み何度か頓挫しかけたんですが、昨年ようやく作業を再開させて、先週までメールで詰めの作業をやりとりしていたんです。彼自身が完成を楽しみにしていました。それだけに突然の訃報に驚いています。残念です」とコメントした。