◎今週の一推しイベント
【24日(土)】
▽「デザインあ展neo」(~9月23日、港区・TOKYO NODE GALLERY A/B/C)
日常的なモノをデザインの観点から見つめるNHK・Eテレ番組「デザインあneo」のコンセプトをインスタレーションや体験型作品にした展覧会が、虎ノ門で開催されている。総合ディレクターをグラフィックデザイナーの佐藤卓さんが務め、子どもも大人も五感を使って楽しめる内容だ。
テーマは動詞。一線のクリエーターたちが「あるく」「たべる」「もつ」といった行為を連想して創作した新作を中心に、全35点を展開する。「モノとその先のコトの間には必ず動詞(行為)があり、そこで“すわりごこち”“着ごこち”など、人間のさまざまな感覚が引き出される。デザインで大切なことは、人やモノの間を適切につなぐこと」と佐藤さんは話す。
「学童イスのゆめ」は小学校の教室で使う椅子を、機能や特性の異なるイスに作り変えた作品。ベンチ、ビーチチェア、社長が座るようなイスが並び、学校にあるモノも目的・用途に応じて形態や意味を変えていくことに気づかせる。
つぼを壊して組み立て直す立体パズル「こわすとなおす」は、大人が子どもと一緒に考えながら取り組める。「同じ作家の『るてす』は、天井に逆さに据えたゴミ箱へ、ポリ袋を扇風機の風で下から投げ込む参加型作品。捨てたゴミは消えるわけではなく戻ってくると知ることで環境意識が高まり、当たり前にあるゴミ箱を考えさせられる」
「もちごこち」という作品は、大中小のいろいろな形の道具を手にとり、最も使いやすいサイズを自分の身体で選び取る。佐藤さんは「デザインは見た目ではなく気遣いの心が大切。未来の実験場のようなこの場所で、人々が本当の豊かさを得られる社会を楽しく想像してほしい」と話した。
○そのほかのお薦めイベント
【24日(土)】
▽「井上晋太郎個展 NO BORDER LINE」(~27日、中央区・銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM、入場無料)
幼少期からの書道の経験を基にした、シンプルな線とカラフルな色の作品で知られるアーティスト井上晋太郎さんの個展が、銀座で開催されている。
初となる大型作品2点を含む19点を展示。「That Woman」シリーズには、一見複製された版画のように、同じ表情の女性をフリーハンドで描いた作品も。背景と線の色を変えているため、全く別人のようにも見え、現代を生きる多様な女性の姿を浮かび上がらせる。
人々や社会を「分けない」ことの大切さを、線と色で表現したという。井上さんは「対立が激しい今の世界で、人々が尊重し合ってほしいとの願いを込めた。一人一人の個性の上に多くの物事が成り立つのだと感じてほしい」と話した。
▽「旧芝離宮夜会~ひかりめぐる庭~」(~25日、港区)
国の名勝に指定されている浜松町の旧芝離宮恩賜庭園を、光と音で彩るイベントが行われている。
かつて海だった土地柄にちなみ、園内中央の池「大泉水」を、潮の満ち引きをイメージしたライトアップで点灯。幻想的な風景が楽しめる。
▽「創造と破壊の閃光」(~6月15日、渋谷区・ジャイル・ギャラリー、入場無料)
現代美術家の草間彌生さんら共通項を持つ女性アーティストたちの作品を紹介する展覧会が、表参道で開かれている。平和や生死への思いを発する「永遠の希望」など草間作品5点と対話する形で、世代の異なる作家3人の“自己の存在”を問いかける絵画やドローイングの数々を展示した。
草間さんと同世代の三島喜美代さん(1932~2024年)は、日常捨てられる大量の缶をシルクスクリーンで陶器に転写するなどの手法で、資本主義社会の矛盾をユニークに批評した作品が知られる。「Box Banana 15」など、新聞紙と広告をモチーフにして自ら“情報の化石”と呼んだ陶器作品も。「戦争を体験した後、大量消費とマスメディアの興隆の中で自己喪失の危機を感じて創作した。テクノロジーが発する情報の洪水におぼれる今の人々を予見していたようにも思える」とキュレーターの飯田高誉さんは話す。
約10年前に50代で死去した坂上チユキさんによる、動物の神話から発想を得たドローイングも展示。やさしい色彩の自然の風景から生命への賛美が伝わる。30代の谷原菜摘子さんは、社会に対する絶望感を抱えながら、希望を見いだそうともがく自身の姿を独自の筆致で描いた。
「自分の中に光を当て、大勢に同調しない姿勢が全ての作品に共通している。権威が支配する世の中で無力を感じている人たちに、前に進む勇気を感じてもらいたい」
▽「渋谷のストリート系カジュアルスイーツ『クリーム オア クルーラー』」(通年営業)
行列のできるドーナツ店やベーカリーを多数展開する人気シェフの平子良太さんが手がけるカジュアルスイーツ店が、渋谷に今月オープンした。
シュー生地の軽さとフレンチクルーラーのさっくり感を掛け合わせ、底面にキャラメルを施した「シュークルーラー」を提供。手のひらサイズの大きさで、オリジナリティーのある食感が楽しめる。自家製ディップクリーム3種も別売りで用意され、好みの量をシューに載せられる。渋谷の公園や広場で、出来たてのスイーツを味わいたい。