◎今週の一推しイベント
【5月3日(土)】
▽「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て」(~6月15日、千代田区・東京ステーションギャラリー)
フィンランドのモダンデザインに大きな功績を残した芸術家タピオ・ヴィルカラの日本初となる回顧展が、丸の内で開催されている。
日本ではガラス工芸家として知られるが、「本国では、木材や金属などの素材も使いこなした幅広い創作活動が高く評価されている。作品の多様性と、そこに垣間見える深い思想に触れてもらいたい」と学芸員の柚花文さんは話す。
1946年からプロダクト・デザイナーとしてイッタラ社と協業し、数々のガラス商品を発表した。ラテン語で最北の地を意味する「ウルティマ・ツーレ」のシリーズは、創作拠点の一つだった北極圏ラップランドから発想を得た代表作。溶けていく氷のしずくのような凹凸をガラスの表面に表現したグラスや器だ。「雄大な自然に影響を受け、幾何学的な思考も取り入れている。伝統的な職人技とモダンデザインの融合は、彼の創作全体に反映されていった」
自ら手を動かす姿勢を大切にした。ベネチアのガラス工房で生み出されたさまざまなガラス作品には、イタリアならではの色彩と技巧が表れている。
最大の見どころは大型の木製オブジェの数々。緻密な手作業で木の板を何層も重ねた「リズミック・ブライウッド」という素材を用い、家具職人と共に創作した。木目と曲面が調和した表情豊かな造形が美しさを放つ。
「世界の果てのような地で、生命の輝きを見つめ続けていたことがどの作品からも伝わる。商業と芸術を超えた、ヴィルカラのデザインの哲学を感じてほしい」
○そのほかのお薦めイベント
【5月3日(土)】
▽「ボタニカル・ブリーズ・アフタヌーンティー with THANN」(~6月30日、港区)
ボタニカル(花々やハーブ)をテーマにしたアフタヌーンティーが、赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で提供されている。
タイ発の高級ナチュラルスキンケアブランド「THANN(タン)」とのコラボレーションで、レモングラスやローズマリーなどのハーブを使用したスイーツ12種とセイボリー5種をそろえた。
エディブルフラワー(食用花)も使い、植物の恵みを感じさせる。ふんわりとしたバラの風味の「バラと白桃のキューブゼリー」「ジャスミンとバラのクリーム“エデンブリーズ”」はシェフのおすすめ。「ツナのカンノーロ」にもかわいらしい黄色の食用花アリッサムを飾った。
店内の各テーブルにはTHANN「エデンブリーズ」コレクションのフラワーポプリを配置。紅茶やハーブティーなど飲み物15種を味わいながら、ジャスミンとバラの香りが楽しめる。花が咲きこぼれるような姿のスイーツと共に、初夏のさわやかな季節を感じたい。
▽「門田光雅 作品展『Re―Color』」(~11日、世田谷区、入場無料)
日常の風景や記憶に潜む色彩を捉えた抽象絵画で知られる現代美術家の門田光雅さんの作品が、二子玉川のインテリアショップ「アルフレックスリストア」で紹介されている。
アルフレックスの名作ソファや椅子、テーブルが置かれた広い空間に、新作を含む約30点を展示。ダイナミックに重なり合う鮮やかな色と、個性的な家具が心地よいハーモニーを生む。
「日々の生活を連想させる場所に抽象絵画を溶け込ませることで、現代アートを身近に感じてもらいたかった」と門田さん。自身の作品をインテリアに合わせて設置する試みは初めてという。
自然豊かな静岡の海辺で育った子ども時代の思い出が“波の形”となってどの作品にも表れている。「camphor(カンフル)」は青や白、紫色のうねりが印象的な大作。大型ソファの後方の壁に展示され、ひときわ目を引く。「家の庭にあった、強風で倒れ根がむき出しになっても枯れなかったクスノキをモチーフにした。激しい波や風に押しつぶされても、生き延びていく命を表現している」
カウンター近くの壁には、道端の小さな花からもらった前向きな気持ちを、やさしいピンク色などで描いた「birth」を飾った。
会場にある家具の数々は、お客から下取りしたアルフレックス製品にメンテナンスを施したアップサイクル商品だ。「自分も旧作に加筆して新しい価値をつくろうと試みることがある。ここにあるユニークなアートや家具に触れ、“いろいろな状態を受け入れて前に進んでいこう”と思ってもらえたらうれしい」
▽「SUPER MARC JACOBS PHOTOGRAPHED BY LESLIE KEE PHOTO EXHIBITION」(~11日、渋谷区・Creative Space Akademeia 21 Harajuku、入場無料)
米国のファッションブランド「マークジェイコブス」が、原宿で写真展を開催している。写真家レスリー・キーさん創刊の「SUPER magazine」20周年記念の特別号「SUPER MARC JACOBS」の発売に合わせた。
マーク・ジェイコブスさんを撮影したポートレートや、今春展開のランウエーコレクションなどを着用した小泉今日子さん、アオイヤマダさん、エリイさん、またデブラ・ショーさんら国内外著名人の写真を展示。キーさんが監督した10分間のショートムービーも上映。DJ高木寛さんがリミックスした小泉さんの「魔女」とシンディ・ローパーさんのヒット曲を使い、視覚と音楽で魅せる世界観も体験できる。