「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s―1970s」展示風景(国立新美術館 2025年)。会場に再現されたル・コルビュジエの水平窓(撮影:福永一夫)(提供写真)

 「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s―1970s」展示風景(国立新美術館 2025年)。会場に実現されたミースのロー・ハウス(撮影:福永一夫)(提供写真)

 藤井厚二「聴竹居」(1928年 撮影:古川泰造)(提供写真)

 コーア・クリント「フォーボーチェア」((C)Carl Hansen&Son)(提供写真)

 小さな亀の形をした限定品のチョコレート(提供写真)

 「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s―1970s」展示風景(国立新美術館 2025年)。会場に再現されたル・コルビュジエの水平窓(撮影:福永一夫)(提供写真)  「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s―1970s」展示風景(国立新美術館 2025年)。会場に実現されたミースのロー・ハウス(撮影:福永一夫)(提供写真)  藤井厚二「聴竹居」(1928年 撮影:古川泰造)(提供写真)  コーア・クリント「フォーボーチェア」((C)Carl Hansen&Son)(提供写真)  小さな亀の形をした限定品のチョコレート(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【19日(土)】

 ▽「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s―1970s」(~6月30日、港区・国立新美術館)

 1920~70年代の一戸建て住宅に焦点を当て、当時の建築家たちが心地よく機能的な住まいをどのように実現したかを紹介する展覧会が、六本木で開催されている。

 国内外の著名建築家による14の傑作住宅を模型や図面、スケッチ、写真・映像などで紹介。衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、景観の七つの観点から特徴を浮かび上がらせる。「彼らの実験的精神から、現代を楽しく快適に暮らすことの大切さを考えてもらいたい」とゲスト・キュレーターのケン・タダシ・オオシマさんは話す。

 ル・コルビュジエが両親のために建てたスイス・レマン湖畔の住宅「ヴィラ・ル・ラク」(23年)は、部屋と浴室がひとつながりの細長い平屋で、わずか60平方メートルの住居なのに広々とした印象。会場には横幅約11メートルの水平連続窓が再現され、自然光が室内の至る所に差し込む暮らしを想像できる。

 アルヴァ・アアルトは、フィンランドの森の中に家族や友人とくつろぐ「ムーラッツァロの実験住宅」(53年)を造った。「約50種類のれんがやタイルを使い建築の可能性を試した。家具や照明と、窓から見える自然が調和し、心身を癒やす空間となっている」。日本の気候や生活様式を意識した、藤井厚二による京都の自邸「聴竹居」も紹介。

 14住宅とは別に、無料エリアで紹介されているドイツのミース・ファン・デル・ローエの「ロー・ハウス」は注目の展示だ。中庭がある住宅を原寸大で実現。ミースの名作「バルセロナ・チェア」に座って全体を見渡すことができる。「まさに日本の長屋と同じ発想。室内と庭がつながる空間を追求し続けた精神が感じられるだろう」

 14住宅関連の展示は9月20日から兵庫県立美術館でも開催。

 ○そのほかのお薦めイベント

 【19日(土)】

 ▽「コーア・クリント?―デンマーク家具デザインのはじまり―」(~6月9日、中央区、入場無料)

 デンマーク近代家具デザインの父とも呼ばれるコーア・クリントの作品と業績を紹介する企画展が、松屋銀座・デザインギャラリー1953で開かれている。

 クリントの技術を2011年に引き継いだ家具メーカー「カール・ハンセン&サン」が選んだ代表作チェア4点を展示。同社日本法人ビジュアル・マーチャンダイザーの郡司圭さんは「先駆者でありながら、次世代のアルネ・ヤコブセン、ハンス・ウェグナーらと比べ日本では知名度が低い。現代のデザインに与えた影響力を知ってほしかった」と話す。

 15歳から父の下で建築の勉強を始めた。1914年に創設された「フォーボー美術館」で展示室の椅子の制作を担当し、家具デザイナーとして一躍脚光を浴びる。その後、人の身体の動きやすさと、空間に映える造形の美しさを備えた家具を次々に創作した。 

 出世作となったフォーボーチェアは、いま見ても洗練され機能的。この椅子をきっかけに50年代には、北欧デザインの礎ともなる「デニッシュモダン」が花開いた。

 会場には円熟期の作品イングリッシュチェア(2024年に復刻)も展示。「複雑な木取り、緻密な加工や装飾、籐(とう)張りの繊細さなど、家具作りの高度な技術が集約されている」

 家具の歴史を体系的に研究する学問を確立させ、数多くのデザイナーを育成した教育者としても知られる。「クリントは過去から伝統的技術を学び、時代に合った新しいデザインとしてよみがえらせる“リ・デザイン”の実践者だった。その精神を未来に受け継ぐことが大切だ」

 ▽「ブノワ・ニアン 虎ノ門ヒルズ店」(港区、通年営業)

 ベルギーのチョコレートブランド「ブノワ・ニアン」の新店舗が、虎ノ門ヒルズに今月オープンした。銀座に続く国内2号店となる。

 オーナーのブノワ・ニアンさんが、世界中を旅してカカオ豆を厳選。数々の限定品がそろう。

 小さな亀の形をしたチョコレート2種を提供。ダークチョコはニカラグア産カカオを使いアプリコットのような独特な香り。ミルクチョコはキャラメルやバターのような香ばしさが特徴だ。

 フランス産のフルール・ド・セル(大粒の天日塩)を使った濃厚なトリュフチョコレートも。焼きたてのフィナンシェとクッキーもお薦めだ。

 ▽「フラワーフェスティバル2025」(~5月25日)

 春の花見イベントが、立川市の国営昭和記念公園で楽しめる。開催期間中に公園内で春の花が次々に開花。渓流広場のチューリップガーデンでは約260品種25万球のチューリップや、ムスカリの3品種8万球植栽が花開く。5月には花の丘でシャーレーポピーも。開花時期は気温により変化するため公園ホームページを参照。

 【20日(日)】

 ▽「映画上映会&トーク『在りのままで咲け』『在りのままで進め』」(13時30分、北区・北とぴあ ドームホール)

 俳優の水村美咲さんが原案・企画・プロデュース・主演を務めた、松本動監督の短編・長編映画の上映と水村さんのトークが、王子で行われる。

 「不器用でどんくさくても、前に進む姿を見せたい」と水村さん。作品は、厳しさに直面しても、俳優や映画監督になる夢を諦めずに道を切り開いていく女性たちを描いた。