小学5年生の男児が登校中に道路を横切り、車にはねられ亡くなった。「この子の無念、被害者家族の心境を取材してほしい」。父親の声が西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。全国で小学生年代が道路に飛び出して巻き込まれた事故は5年間で400件あまり起きている。社会は子どもの安全を守れているだろうか。

 北九州市八幡西区の馬越博文さん(51)は、2023年11月16日の朝の光景が忘れられない。

 出勤のため妻の愛子さん(49)を助手席に乗せて車で家を出ると、近くの三差路に水筒が転がっているのに気付いた。少し前に家を出た息子、裕都さん=当時(10)=のものだった。

 2人は慌てて車を降りて駆け寄った。そばに停車していた軽乗用車のタイヤと路面の間に、裕都さんが挟まれているのが目に入った。「飛び出してきたんやもんっ」。若い女性が立ち尽くし、叫んでいた。

(西日本新聞)

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