「来年は解説される側として戻ってきます」。その目には、勝負師としての確かな力強さを感じた。

 3月29、30日の両日に行われた宇都宮ブリッツェンの今季開幕戦「真岡芳賀ロードレース」、「宇都宮清原クリテリウム」。レースは両日、ブリッツェン勢が表彰台に上り、駆けつけたファンは歓喜した。

 その傍ら、難病「再生不良性貧血」の療養中の小野寺玲(おのでられい)(29)=鹿沼市出身=は、動画配信サイトのライブ中継の解説者として登場。「足を回せないので、口を回します」と持ち前の明るさと軽快なトークで盛り上げるだけでなく、唯一の両大会優勝経験者として的確にレース展開を解説し、ホストチームの一員として大会を盛り上げた。

ライブ中継の解説を務めるブリッツェンの小野寺(右)=2025年3月30日、宇都宮市、森田大地撮影
ライブ中継の解説を務めるブリッツェンの小野寺(右)=2025年3月30日、宇都宮市、森田大地撮影
ステージでトークショーを行うブリッツェンの小野寺=2025年3月30日、宇都宮市、森田大地撮影
ステージでトークショーを行うブリッツェンの小野寺=2025年3月30日、宇都宮市、森田大地撮影

 選手生活は突然一変した。昨年9月、トルコへの遠征から帰国後に体調不良が続き、練習でいくらペダルをこいでも思い通りの数値が出せなくなった。最初は疲労の蓄積からの不調を疑い、あらゆる治療を施したが改善しない。「何かがおかしい」。精密検査を繰り返し受け、10月初旬の診断で判明した。