心臓手術で胸の中心を縦に大きく切開する従来の方法(正中切開)とは異なり、小さな傷で済む低侵襲心臓手術「MICS(ミックス)」が注目を集めている。宇都宮記念病院(宇都宮市大通り1丁目)は昨年5月から、完全3D胸腔(きょうくう)鏡(内視鏡)下のMICSに取り組む。患者への負担軽減や、良好な視野の確保などにより、安全性は向上。心臓外科部長の松濱稔(まつはまみのる)医師は「治療の選択肢が増えるよう、認知度を高めたい」と力を込める。

MICSに使用する器具を手にする松濱医師=宇都宮記念病院
MICSに使用する器具を手にする松濱医師=宇都宮記念病院

 日本のMICSは1990年代に始まり、2018年に保険加算が認められた。正中切開と比べると、骨を切らず傷口が小さいのが特徴だ。

 ▽リスク管理

 同院が注力するのは、直視下のMICSではなく完全3D胸腔鏡下で行うMICS。正中切開は胸に20センチ程度メスを入れて胸骨を切り開くが、同院のMICSでは