「前橋公園に夏ミカンの木があり、おいしそうな実がたくさんなっている。その行方が気になる」。前橋市の男性(54)が1月、上毛新聞「みんなの疑問 特別取材班」に疑問を寄せた。木は前橋市の友好都市、山口県萩市から贈られたものだといい、確認すると2本の木に合わせて50個ほどの立派な実があった。誰かが食べているのか、それとも-。前橋市の担当課に聞いた。

 市によると、夏ミカンの木は2008年に萩市から送られた苗木を育てたもの。萩では明治以降、夏ミカンの栽培が盛んになり、特産となった。

山口県萩市から贈られた夏ミカンの木
山口県萩市から贈られた夏ミカンの木

契機は初代群馬県令

 両市を結ぶのは萩出身の初代群馬県令、楫取(かとり)素彦だ。楫取は同郷の盟友、吉田松陰から託された「至誠」の思いを胸に、群馬の教育振興や産業の近代化に尽力。県庁を高崎から前橋に移す決断もした。楫取をきっかけにした民間レベルの交流が発展する形で、02年に前橋、萩の両市は友好都市となった。

 木はもともと、群馬県庁裏手の高浜公園の近くにあった楫取の顕彰碑近くに植えられていたが、

 (上毛新聞)

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